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洗練される企業の「退職勧奨マニュアル」、労働者に対抗手段はあるのか

弁護士ドットコムニュース / 2021年9月20日 9時50分

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コロナ禍による人員調整もあり、退職勧奨が様々な企業でおこなわれていると聞く機会が増えました。

業績悪化に伴う整理解雇の法的なハードルが高いので、企業は、退職勧奨という手段を選びがちですが、果たしてそのやり方は適法なものなのでしょうか。

労働者の相談にのっている山内一浩弁護士は「明確な退職強要もまだまだ多いですが、詳細なマニュアルと研修に基づいた巧妙なやり方で自主退職に追い込むことが増えているように思います。だからこそ、退職したくない場合は対抗策が重要になります」と語ります。詳しく聞きました。(新志有裕、齊藤理木)

●マニュアルやプログラムを活用して、「スマート」に辞めさせる

ーー退職勧奨の裁判に関わったことがあるとのことですが、どのような裁判だったのでしょうか。

例えば、IBMによる退職勧奨に関する事件です。この事件では、会社が能力不足と判断した労働者への退職勧奨が問題となりました。退職勧奨の事件が終わった後に発生した能力不足を理由とする解雇事件については、裁判所で全て勝訴か勝利的和解を得ることができたのですが、残念ながら先行した退職勧奨事件について裁判所は、違法性はないと判断しました。裁判所の傾向として、退職勧奨が違法であると認定するのと、解雇が無効であると判断するのには、「落差」があるように思います。

ーーIBMの退職勧奨では、マニュアルもあったそうですが、近年では、そのような「仕組み化」された退職勧奨が広がっているのでしょうか。

そうですね。ドラマに出てきそうな上司が「お前なんかさっさと辞めちまえ」と怒鳴りながら机を叩くといった、明らかに違法なやり方ではなく、表向きは「スマート」なやり方が広がりつつある印象があります。

企業は管理職に事前の研修を行い、どういう言葉を述べてはならないとか、どのようにして労働者を「説得」するか(例えば「業績に問題があるので人事評価が下がる」とか「社内でのキャリアには限界」などを「伝達」するなど)のトレーニングをします。外部のコンサル会社が作成したマニュアルも活用して、表面上は粗っぽさが出ないようにしています。

能力改善プログラム(PIP: Performance Improvement Program)といって、一定期間で目標に達しないと退職を促す仕組みもあります。労働者は、会社主導で設定された目標を達成できないと、「自分に問題があるのだ」と思い込まされ、自分が悪いんだと責任を感じて退職する方向に追い込まれるということですね。しかし、明らかに無理難題な目標が設定されている場合もあり、そのような無理な目標を達成できなかったからと言って、直ちに退職する必要はありません。

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