1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

無期懲役判決で万歳三唱した「新幹線無差別殺人犯」は何者だったのか 面会続けた女性写真家に聞く

弁護士ドットコムニュース / 2021年9月29日 7時21分

一般的には、大人になる過程で視野は広がっていくものだと思いますが、小島は自分がみつけた「答え」にまっしぐらなんですよね。

彼はとても「言葉」を重視します。言葉で作られたルールに沿って動く方が、コミュニケーションがとりやすい。言動が矛盾したり、その場のその場で意見を変えたりすることもある家族よりも、「法律(ルール)」がある刑務所の方が息がしやすいというのもあるようです。

ーー実際に刑務所に入り、満足しているようにみえましたか。

人が一般的に「地獄」だと思うようなことが、彼にとっては「幸福」なんですよね。だから頭では満足はしていると思いますよ。精神状態は悪くなりましたが。

刑務所で暴れるたびに、刑務官や特別機動警備隊が対応しているようですが、小島は暴行を受けることに幸福を感じています。刑務所の職員は「業務」として対応しているだけなのですが、小島にとっては、愛情を感じられる場所なのだと思います。小島自身も、自分の行動について「幼児退行」だと言っていましたし、自ら絶食して死に向かっても、実力行使で無理やり生かされる場所を「理想の家庭」と考えているとわかりました。

ーー取材の中で、被害者に対する思いを語ることはありましたか。

被害者に対する申し訳なさのようなものが書かれた手紙が届いたこともありますが、小島が心から自分のやったことを理解しているかどうかは怪しいですね。

小島は、殺人行為をおこなった際のことを淡々と記憶していました。精神的に取り乱すことなく、冷静に行為に及んでいるんです。殺人をおこなうということの感覚が、そもそも普通の人と違うのではないか、と思うところはあります。

●事件は抑止できたのか? 語り合うきっかけに

ーー事件が起きると「どうすれば防ぐことができたのか」という議論になることがしばしばありますが、インベさんは今回の殺傷事件について、どのようにお考えですか。

「何が抑止になるのか」という視点では書いていませんが、小島なりに「これをすれば、自分は刑務所に入らなかった」という言い分はあるようです。しかし、私自身は「答えはない」と思っています。

読む人のバックグラウンドによっても、反応するポイントは変わってくると思います。本を通して、この事件に対する様々な視点からの意見が語られるようになってほしい。「なぜ事件は起きたのか」、裁判でもまったく明らかにされてこなかったことを記した者として、「わけのわからない事件」として追いやられ、風化されることがないようになってくれればと願っています。

【インベカヲリ☆さん】
東京生まれ。写真家。ノンフィクションライター。写真集に『やっぱ月帰るわ、私。』、『理想の猫じゃない』、『ふあふあの隙間』①②③(すべて赤々舎)、著書に『私の顔は誰も知らない』(人々舎、2021年中に発売予定)など。「新潮45」などに事件ルポを寄稿してきた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング