尾木ママが批判する武雄市の「反転授業」 子どもの「教育を受ける権利」は大丈夫?

弁護士ドットコムニュース / 2014年4月3日 11時42分

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学校で教えてもらい、家で復習する。従来の学校でごく当たり前のように行われてきた授業形態を180度逆転させた「反転教育」を、佐賀県武雄市の公立小学校が、この春から始める。

「反転授業」を受ける児童は、まず授業の前に自宅でiPadなどを使ってビデオを見ることで「新しい知識」を獲得する。教室での授業はその知識を応用・発展させたり、不足点を補う場所になる。こうすることで、単なる知識の詰め込みで終わっていた従来型の授業よりも、より効果の高い教育が実現できるという触れ込みだ。

一方で、この反転授業に疑問を投げかける人もいる。「尾木ママ」の愛称で知られる教育評論家の尾木直樹氏は「高校・大学レベルの方法論」と指摘。学校の「責任放棄」だとして、ブログで痛烈な批判を展開した。

たしかに「自宅での予習」を前提とする教育がうまくいくかどうかは、それぞれの子どもの「家庭での学習環境」に大きく左右されそうだ。こうした手法の導入が、子どもから「教育を受ける権利」を奪う危険性はないのだろうか。南川麻由子弁護士に聞いた。

●予習できない児童への配慮は十分か

「反転授業を導入したからといって、十把一絡げに『学習権』が侵害される、つまり憲法で保障されている『教育を受ける権利』が侵害されると、決めつけることはできません。

しかし、やり方しだいで、子どもの学習権の侵害となってしまう危険もはらんでいる点には、注意が必要でしょう」

南川弁護士はこのように指摘する。どんな点に注意すべきなのだろうか。

「公立の小学校は、多種多様な家庭環境・意欲・学力の生徒が集まる公教育の場ですから、なかには自宅予習をこなすのが難しい生徒もいます。また、今回の武雄市のケースでは市が無償でiPadを配るようですが、自宅学習用の端末の費用が家庭の負担になる場合は、端末を持つことができない児童も出てくる可能性もあります。

もし、教室での授業において、そうした児童への配慮が一切なされなければ、児童は応用的な授業に全くついていけず、結果的に学びの機会を奪われることになりかねません。

つまり、反転授業を取り入れるのであれば、予習していない児童にも配慮した授業の進め方、教室外予習の支援による家庭の負担軽減、魅力的でわかりやすい自宅予習用コンテンツと端末の提供、といった創意工夫が必要となります」

小学校における公教育という観点からすれば、様々な事情で「予習できない児童」の存在を無視するわけにはいかないだろう。

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