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なぜ人事査定があるのに「働かないおじさん」が生まれるのか? 濱口桂一郎氏に聞く

弁護士ドットコムニュース / 2021年10月17日 9時41分

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新卒一括採用で職種を限定せずに「就社」した人たちが、若い頃は馬車馬のように働かされながらも、中高年になってから、上がった賃金にみあった仕事をしていないと批判される「働かないおじさん」問題が長年指摘されている。

最近、日本の大企業が、職務内容を特定して、必要な人員を採用、配置する「ジョブ型雇用」を導入しようとしている背景には、組織の一員としてみんなで出世を目指す「メンバーシップ型雇用」が、結局は年功序列になりがちであるため、新制度で歯止めをかける狙いもあるようだ。

しかし、なぜ、多くの企業で人事査定をしているにもかかわらず、「働かないおじさん」が出てくるのを止めらないのか。新著「ジョブ型雇用社会とは何か:正社員体制の矛盾と転機」を上梓した労働政策研究・研修機構(JILPT)の濱口桂一郎研究所長のインタビュー後編では、この問題を扱いたい。(編集部:新志有裕)

●日本企業における「能力」は「中身がなくてインチキ」

――多くの企業では査定をしているはずなので、仕事のできる人とできない人の差をもっとつけられないのでしょうか。

日本の「メンバーシップ型雇用」における査定とは、「能力査定」と「情意査定」なので、そういった対応が難しいんです。「能力」というのは、職務遂行能力といって、潜在的な能力のことなので客観的な測定が困難です。情意査定とは、いわゆる「やる気」のことなので、遅くまで頑張っていると評価されます。

「メンバーシップ型」の日本ではジョブ型と異なり、新入社員から査定をするわけですが、成果の査定なんてできるわけがないので、「能力」と「やる気」で査定するしかありません。それが課長になってもずるずるといって、成果が出てなくても、「能力はあるし、頑張ってるし」ということでどんどん上がるわけです。

――この「能力」というのが、潜在的な能力であるため、まともに評価できないとうことでしょうか。

今回の本では、人事労務の専門家向けには「あなた方が言っている『能力』とは中身がなくて、全部インチキでしょ」と訴えているつもりです。この本では能力という言葉をすべてカギカッコでくくっていますが、こんな表現をしているのは、普通名詞の中では能力だけです。

中身がないものなので、基本的に年功で上がる、としか言いようがないんです。一生懸命やっている人は査定がよくて、いい加減な人は査定が悪い、という程度の話です。これは成果とは必ずしも比例しないですよね。

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