消費増税の「転嫁拒否」を監視する専門調査官――「転嫁Gメン」の任務とは?

弁護士ドットコムニュース / 2014年5月5日 12時46分

写真

関連画像

消費税率がついに5%から8%へ引き上げられた。この春の増税によって、下請けの中小・零細企業が取引する際、相手企業から納入代金への消費税転嫁を拒まれたり、消費税分の値引きを求められたりするケースがおこりうるのではないかと、危惧されている。

そんな事態を防ぐため、消費税の転嫁を拒否する行為を禁じた「転嫁対策特別措置法」が昨年10月に施行された。その一環として、企業の監視強化に向けて、公正取引委員会と経済産業省(中小企業庁)が全国に約700人の専門職員を配置した。転嫁対策調査官、通称「転嫁Gメン」だ。転嫁拒否がないか、Gメンたちが全国の企業を調査し、違反事例があれば是正するよう指導しているという。

公取委・中企庁によると、増税直前の今年3月だけで、違反行為が判明した事業者への指導が1199件に達したそうだ。デフレなど厳しい経営環境に悩む中小・零細企業にとって、非常に頼もしい存在だろう。転嫁Gメンたちは、いったいどのように調査を進め、転嫁拒否の事実を突き止めているのだろうか。籔内俊輔弁護士に聞いた。

●特別措置法の目的は「弱い者いじめの防止」

この「転嫁対策特別措置法」が制定された目的について、下請け企業など取引上の「弱者」を保護することだと、籔内弁護士は言う。

「取引上の立場が弱い企業は、取引先から消費税の転嫁を拒まれると受け入れざるを得ない場合が多いでしょう。こうした行為に類似した行為を禁止する規制として、たとえば、取引上の立場が強い者が相手方に不利益を無理強いをすることを禁じる独占禁止法の『優越的地位の濫用』規制があります。

また、下請代金支払遅延等防止法(下請法)という法律で、下請取引に関して、発注者が下請事業者に不利益となる行為(下請いじめ)をすることを禁止していますが、これらと趣旨は同じですね」

そうなると、独禁法や下請法でも「弱い者いじめ」に対する規制ができそうだが、今回の増税に際して、新たに「特別措置法」として制定されたのはなぜだろうか。

「過去の消費税増税の際に特に中小企業は消費税転嫁が困難だったという経緯を踏まえ、増税分の減額や増税後の税込価格の据置きなどの代表的な転嫁拒否行為について、優越的地位の濫用や下請法違反よりも画一的・形式的な判断基準で違反かどうかを容易に判断でき、迅速に取り締まりできるよう、特別に作られた規制と理解されています」

それでは、「転嫁Gメン」とは何か?

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング