美味しんぼ「鼻血問題」 福島出身の弁護士はどう見たか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年6月5日 11時18分

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福島に行ったら鼻血が出た――。原発事故以降の福島県を描いた漫画『美味しんぼ』の表現が、大きな論争を巻き起こしている。漫画そのものは「福島の真実編」と題した一連のエピソードが終わったところで休載に入ったが、その後も論争は続いている。福島生まれの弁護士は『美味しんぼ』の表現をどう受け止めたのだろうか。福島県出身で、現在は広島市で開業する石森雄一郎弁護士に話を聞いた。

●多様な意見や可能性を慎重に検討すべき

「私は東日本大震災発生時、福島県郡山市に住んでいました。そして震災から2年の間、同地に居住し、福島県内で家族、友人、職場関係者、被災者と話してきましたが、この期間に震災前と比べて鼻血が出やすくなったという声を聞いたことはありませんでした。私自身、原発事故後に鼻血が出たことはありません。

ただ、もしかしたら、『美味しんぼ』で書いてあるような症状に悩んでいる人がいるかもしれません。仮に作中の『放射性物質の影響で鼻血が出る』という意見が、現在の医学的通説と大きくかけ離れたものであっても、これを『真実と異なる』と簡単に断じることはすべきではないでしょう。

今後の福島の状況を慎重に判断するためには、『美味しんぼ』に出てくる意見を簡単に否定することはむしろマイナスで、多様な意見、可能性を慎重に検証する姿勢は絶対に必要です」

●簡単に結論を出せないから、苦しんでいる

「一方で、『放射性物質の汚染が健康に及ぼす影響』については、福島第一原子力発電所の事故直後から、さまざまな意見が福島県民を取り巻いています。

安全なのか、危険なのか。福島県民の中には、どの意見を信じていいのか判断できず、それゆえに、解消できない不安を抱えている人が大勢います。

そうした観点から、子育てのあり方や生活のあり方について、家庭内で大きな意見の対立が起き、それがきっかけで離婚に至る夫婦も現実にいるのです。

福島県民にとって、この問題はそれぐらい繊細なことがらで、現在も多くの人が翻弄され続けています。『安全か否か』について、簡単に結論を出せないからこそ、福島県内に残った人も、県外に避難した人も、避難先から帰還した人も、それぞれの決断が正しいのかどうかを考え、悩み、苦しみ続けているのです」

●いとも簡単に「断定」した姿勢が問題

「しかし、『美味しんぼ』の作者は、『福島は危険』『福島に滞在することで鼻血が出る』という意見をもつ双葉町前町長や岐阜環境医学研究所所長ら、極めて限定された人の意見を聞いただけで、いとも簡単に、そして安易に、その意見が客観的に正しいと『断定』し、それが『福島の真実』であるとしました。

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