出生前診断の結果に悩む「妊婦」のための「妊娠葛藤相談所」 日本でも導入すべきか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年6月22日 13時0分

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妊娠した女性から採血して、胎児に先天性の病気がないか調べる「新型出生前診断」が導入され1年以上が経った。新型検査の受診者は事前に予想されていたよりもはるかに多く、2013年4月の導入から1年間でおよそ8000人が検査を受けたという。

ただ、出生前検査を受け、結果と向かいあうことは、生命や倫理の問題とも深く関わる問題だ。妊婦の不安や葛藤を受けとめるカウンセリングが不十分だという声もあがっている。

日本に先駆けて「新型出生前検査」を導入したドイツは、「妊娠葛藤相談所」という専門の施設をつくり、医学的にも心理的にも、妊婦・家族を支援する手厚い体制を整えているという。日本でもこのような制度が必要だろうか。医療問題に詳しい池田伸之弁護士に聞いた。

●「安易に受けるべきではない検査」と弁護士

「いわゆる新型出生前診断は、母体の採血だけで済む検査で、費用が比較的安い上、精度も高いといわれ、大きな反響を呼んでいます。ただ、異常の疑いがある『陽性』と判定された人のうち、染色体異常のある人の確率(的中率)は、80%程度に過ぎません」

つまり、新型検査で陽性判定が出たら、より精度の高い検査による『確定診断』が必要なわけだ。

「その確定診断のためにうける羊水検査は、妊婦のおなかに針を刺し、子宮の中の羊水を採って調べる検査です。妊婦への身体的・経済的負担が大きく、流産などのリスクもあります。結局、出生前診断を受けるときには、最終的に羊水検査を受けることまで覚悟する必要があるわけで、安易に受けるべきではありません」

妊婦に対する「カウンセリング」が不十分という指摘もあるようだが?

「『医学的な説明』については、検査前後の遺伝カウンセリングで、医師などの医療スタッフからなされています。しかし、障がい児を取り巻く社会保障など、社会支援の体制等について、十分な情報提供がなされていないのが実情でしょう」

さらに、池田弁護士はつけ加える。

「しかも、羊水検査で染色体異常の確定診断がなされた後、産むか産まないかの決断をすることに、時間的な余裕はあまりありません。なぜなら、妊娠中絶できるのは、妊娠22週未満だからです」

●「ノーマライゼーション」が必要

日本で新型検査が開始された後の半年間に行われた調査によると、陽性反応が出た妊婦の9割が中絶を選んでいたという。ドイツで行われているような「事前相談」は、検査を受けた人たちの役に立つのだろうか。

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