W杯「ゴールシーン」動画をSNSに投稿――違法と合法の「境目」はどこにある?

弁護士ドットコムニュース / 2014年6月25日 19時26分

「『公衆』の概念をどう理解するかについては、これまでも『まねきTV事件』などの裁判で激しく争われています。しかし、現在の判例状況では、SNSで共有しただけでも、公衆送信権の侵害とされる可能性が高いと考えられます」

それでは、「テレビ放映された決定的なゴールシーン」の動画を共有するのは、そもそも諦めるしかないということだろうか?

「『引用』として利用する余地はありそうですね。『引用』(著作権法32条1項)とは、批評や報道、研究などのため、著作物の一部を適切な形式で利用することです。もし引用だと認められれば、著作(隣接)権者の許諾なく利用することができます。

引用になるかどうかは、利用目的のほか、その方法や態様、利用される著作物の種類や性質、著作権者におよぼす影響の有無・程度などを総合考慮して、決定されます」

今回のような場合は?

「ゴールシーンについての分析や、感想を述べるための目的であれば、引用する必要性は認められそうです。

利用するのはゴールシーンなのでごく短時間の映像で、仲間内だけの共有であれば著作権者に及ぼす影響は、さほど大きいとは言えないでしょう。

以上の点を重視すれば、『引用』に当たるという判断も、十分ありえるように思います」

そうした動画を「引用」して、SNSに投稿する際、何か注意する点はあるのだろうか?

「何のコメントも無く単に動画のみを投稿するという利用だと、なかなか『引用』とは認められません。「動画が無いとそのコメントが伝わりづらい」かどうかを意識すべきでしょう。また、もとの映像の『出所明示』、つまり引用元を明らかにすることも必要です」

雪丸弁護士はこのように指摘していた。もし、テレビを見ていて、その感動を「共有したい」と思った際には、こうした点に気をつけるといいだろう。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
雪丸 真吾(ゆきまる・しんご)弁護士
著作権法学会員。日本ユニ著作権センター著作権相談員。慶応義塾大学芸術著作権演習I講師。2014年2月、『引用』に関する書籍『Q&A 引用・転載の実務と著作権法』第3版(中央経済社)を出版した。横浜弁護士会サッカー部所属のサッカー好き。優勝予想はオランダ。MVP予想はファンペルシー。
事務所名:虎ノ門総合法律事務所
事務所URL:http://www.translan.com/

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