サルが写真家のカメラを奪って「自分撮り」 写真の「著作権」は誰のもの?

弁護士ドットコムニュース / 2014年8月26日 10時34分

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いたずら好きのサルが自分自身を撮影した写真をめぐり、論争が起きている。報道によると、写真は英国人の写真家デービット・スレイター氏のカメラで撮影された。インドネシアの島を訪問していたスレイター氏のカメラを、好奇心旺盛なサルが奪い、シャッターを押しているうちに、アングルもピントも表情も、完璧な形で撮影された。

この写真が著作権無料の写真を集めた「ウィキメディア・コモンズ」に登録されたため、スレイター氏が写真を削除するようにウィキメディアに要請。これに対し、ウィキメディアはサイト上で、「人間によって撮影された写真でない以上、誰にも著作権は帰属しない」と反論し、削除要請を拒否した。

結局、米国では、著作権局が8月19日、「動物や植物によって制作された作品を登録することはない」との見解を示したが、もし日本で論争が起こったとしたら、著作権は誰のものになるだろうか。また、著作権が「誰のものでもない」と判断された場合、その著作物はどのように扱われるのだろうか。著作権の法律問題にくわしい井奈波朋子弁護士に聞いた。

●人間の精神活動によるものでなければ、著作物ではない

「サルが人間のカメラを奪って、シャッターを押し始め、その過程で撮影した自撮り写真が著作物となるかどうか。結論から言えば、日本では、このような写真は著作権法で保護される著作物に該当しないでしょう」

このように井奈波弁護士は言う。なぜだろうか。

「日本の著作権法では、著作物とは『思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの』と定義しています(著作権法2条1項1号)。このように、著作物であるための要件の一つとして、『思想または感情』の創作的表現であることが必要となります」

つまり、サルには思想や感情がないということだろうか。

「はい。この『思想または感情』とは、人間の精神活動全般を指すと解釈されます。ですから、人間の精神活動に基づくことなく、撮影された写真は、『思想または感情』の創作的表現でなく、著作物とはなりません。

問題の写真は、サルが本能的に撮影したもので、写真家の精神活動によるものと認められません。そのため、著作物に該当せず、問題の写真に著作権は成立しないことになります」

●写真は「パブリック・ドメイン」にならざるをえない

なるほど、そもそも人間以外の動物には著作権はないということか。

「その通りです。今回のケースでは、撮影したサルに著作権があるかのような議論も見られます。

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