なぜ「浄水プラント販売業者」は美濃加茂市長に「金を渡した」と供述したのか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年8月26日 12時10分

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「当然、厳しい意見をもった市民もいる」「本当に大丈夫なのかと思われている市民は大勢いらっしゃると思う」

受託収賄などの疑いで逮捕されてから約2カ月。ようやく保釈が認められ、公務に復帰した岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長は、慎重に言葉を選びながら記者の質問に答えていった。背広の胸元には、拘置所を出たときにはなかった市長バッジがついている。

「自分のおごりや、慢心もあったかもしれない」

反省の言葉を織り交ぜながら、語気を強めて主張したのは「現金の授受は一切ない」という身の潔白と、「ハナタレ小僧に投票した市民は何を考えていたんだ」「早くしゃべらないと美濃加茂市を焼け野原にするぞ」とまで言われたという理不尽な警察の取り調べ、そして藤井市長に現金を渡したと供述している贈賄側業者に対する怒りだ。

「なぜ嘘の証言をしたのか。強い憤りを感じる」

●藤井市長と贈賄側業者の接点となった「浄水プラント」

藤井市長逮捕の決め手となった証言をした贈賄側業者とは、名古屋市の浄水設備販売会社「水源」の中林正善社長(贈賄罪などで起訴)。今回の事件は、この中林社長による別の詐欺事件が発端だった。

5年前、多額の借金を抱えたまま会社を設立した中林社長は、地下水供給設備などを各地の自治体や病院に売り込んでいた。しかし、なかなか受注ができないまま、金融機関から融資された借金を別の借金で穴埋めする自転車操業を繰り返し、計10行から総額4億円以上の融資を受けたという。

2011年の東日本大震災後は、京都府の業者が特許を持つ「ろ過装置」を取り入れたプールの浄水プラントを「災害時の飲料水を確保できる」設備だとして売り込みに回った。京都の業者は「初めは名古屋でやると言い、国会議員にも働き掛けて全国の小中学校に導入させるとまで言っていた」と振り返る。

しかし、中林社長はその裏で、他人の印鑑や書類を偽造するなどして、銀行からさらに融資を受けたり、自治体への営業を強めたりしていた。

そして昨年2月ごろ、名古屋市内の知人を介して売り込みを図ったのが、当時は美濃加茂市議だった藤井市長だ。

藤井市議(当時)は「災害の多い美濃加茂市の役に立つ」と考えて、市に浄水プラントの導入をすすめ、市議会でも関連の答弁をした。昨年6月の市長当選後は、母校の中学校のプールにプラントを取り付けさせ、無償の実証実験を推し進めた。

この年の夏ごろから、愛知県警は中林社長のメーンバンクに捜索に入り、藤井市長のほか、名古屋市に事業をすすめた名古屋市議らへの金の流れを調べ始めていた。そして、今年2月、名古屋市内の銀行から融資金1000万円をだまし取った詐欺の疑いで中林社長を逮捕したのだ。

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