小野市「生活保護通報条例」 プライバシー権の過度な制約で「違憲の可能性もある」

弁護士ドットコムニュース / 2013年3月28日 12時28分

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お笑いタレントの家族の「不正受給疑惑」をきっかけに強まった「生活保護たたき」。ネットから広がった「ナマポ」というスラングからわかるように、世間からは、生活保護受給者に対して冷たい視線が注がれているようだ。そのような中、兵庫県小野市議会で、一風変わった条例が3月27日、可決・成立した。

小野市議会のホームページなどによると、この条例は、受給者がパチンコなどギャンブルで生活保護費を浪費することをはっきりと「禁止」している。さらには、ギャンブルをしている受給者を見つけたら、「通報」することを市民の責務と定めている。ただし、罰則があるわけではない。条例は今年4月1日から施行される。

たしかに、税金から捻出されている生活保護費をギャンブルに使われるとあっては、納税者の心理としても複雑なところがあるだろう。一方で、生活保護費に何を使うかは「個人の自由」という意見もある。そのような観点からは、「個人の尊重」をうたった憲法に反しているようにも思える。

はたして、小野市の条例は違憲になる可能性はあるのだろうか。村上英樹弁護士に聞いた。

●生活保護受給者の「プライバシー権」が制約される

「大変難しい問題ですが、小野市の条例は違憲の可能性もあると思います」

このように村上弁護士は語る。なぜそのように言えるのか。「ポイントは、今回の条例が、生活保護受給者の権利について『生活保護法が定めている以上の制限』を加えているのではないか、という点にあります」という。

具体的には、小野市の条例のどこが問題なのだろうか。受給者のギャンブルによる浪費を「禁止」している点だろうか。

「この条例のパチンコ等を禁じる内容そのものは、生活保護法で定められている『支出の節約をはかる』(同法60条)という生活保護受給者の義務と同じとも言えるでしょう。したがって、この点だけでは、違憲とは言えないのではないかと思います」

つまり、パチンコなどギャンブルによる浪費を禁止する条例の内容だけでは、違憲とまでは言えないのではないかということだ。村上弁護士は説明を続ける。

「ただし、市民が受給者の問題行動について市に『情報提供する責務』があるという条例の規定は、生活保護法にはない点です。これを受給者の立場からみれば、自分の行動が監視され、いつ市に通報されるかもわからないという状況に置かれるということです。

ですから、受給者のプライバシー権(憲法13条)が制約されることになる、という見方ができます。このプライバシー権の制約が、はたして憲法上許される範囲内なのか。つまり、個人の自由の必要最小限度の制限といえるのか、という点が重要です」

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