緊急時にAEDが「バッテリー切れ」 その責任は誰がとる?

弁護士ドットコムニュース / 2013年4月23日 14時34分

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心臓に電気ショックを与えて救命する医療機器「AED(自動体外式除細動器)」。赤色やオレンジ色のケースに入って、商業施設や公共施設などに備えられているところを一度は目にしたことがあるかもしれない。このAEDについて、総務省は3月26日、点検が不十分で、バッテリー切れなど不具合が生じている事例があるとして、厚生労働省に対して改善を要請した。

AEDは自動で診断を行い、必要とあらば心臓に電気ショックを与える装置だ。「パッドを患者の胸に装着してください」といった音声などで説明がされるため、一般の人でも救命活動を行うことができるようになっている。大切な人が突然倒れた時、近くにAEDがあれば迷わず使うにちがいない。

そんなAEDだが、仮に、使おうとする時にバッテリーが切れていたらどうだろうか。助かったかもしれない命が助からないかもしれないし、助かったとしても後遺症が残るかもしれない。このような場合、点検を怠った管理者に責任はあるのだろうか。石井龍一弁護士に聞いた。

●AEDを設置した管理責任者は、正常に機能する体制を整備する義務を負う

「バッテリー切れによりAEDが作動しなかったことにより、救命できたはずの命が救命できなかったり、後遺障害が残ったりする事故が生じた場合には、AEDの管理責任者は管理義務を怠ったことによる損害賠償義務を負うと考えられます」

まず、石井弁護士はこのように結論を述べる。では、管理責任者の「管理義務」とは具体的に何を指すのだろうか。

「AEDを設置した以上、その管理責任者は、AEDが正常に機能して応急手当ができるような体制を整備する義務を負っています。具体的には、日常点検を実施し記録することや、消耗部品をきちんと管理することが必要です。もちろん、バッテリーの状態も点検しておかなければなりません」

●使用者の操作が悪くて、AEDが機能しなかった場合

一方で、石井弁護士は「現実的には、バッテリー切れのようにAEDの不具合が原因で正常に機能しなかったのか、あるいは使用者の操作が悪くて機能しなかったのか、原因がはっきりしないケースも考えられます」と指摘する。

「このような場合、AEDの『使用者』の責任も問われるのか、という問題が生じる可能性も考えられます」

つまり、AEDの使い方に慣れていない一般の人が、誤った使い方をしたために機能しなかったというケースがありえるということだ。では、そのような場合、一般の人は責任を問われるのだろうか。

「一般の方がAEDによる措置を行うことは、他人に緊急の危害が生じているときに、本来何ら義務がない仕事をすることです。したがって、民法上の『緊急事務管理』にあたるということになり、故意や重大な過失がない限り、損害賠償の責任を負わないこととされています。

ですから、ガイドに従った使用さえしていれば、使用者が賠償責任を問われる心配はないと考えられます」

いまやAEDは、心肺停止した急病人の生存率を高める重要なツールとなっている。バッテリー切れなど不測の事態が起きないように、しっかりとした整備がもとめられるだろう。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)

【取材協力弁護士】
石井 龍一(いしい・りゅういち)弁護士
宮内法律事務所(平成25年5月1日より石井法律事務所)
兵庫県弁護士会所属 甲南大学法学部非常勤講師
事務所名:石井法律事務所


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