兵站を無視した「戦線拡大経営」は日本軍と同じ――すき家も陥った「失敗の法則」

弁護士ドットコムニュース / 2014年9月19日 16時50分

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「お金の専門家」である税理士は、ビジネス書を読んで何を考えるのか。ベンチャー企業の支援に取り組む中村真一郎税理士が、経営コンサルタントで税理士の岡本吏郎氏の著書「長く稼ぐ会社だけがやっている『あたりまえ』の経営」(フォレスト出版、2014年5月発売)を読んで、書評を寄せた。

●成功企業が実践する「当たり前の経営」

本書は、経営学者をしのぐほどの膨大な知識にもとづいて「当たり前の経営」の大事さを説く前半と、「節税の常識」の変化を説いた超実務的な後半に分けられます。

税理士としては後半も面白く読んだのですが、それ以上に興味をそそられたのは、経営戦略について、様々な引用をもとに語る前半部分です。

経営の世界では「ブルーオーシャン戦略」や「プラットフォーム戦略」など、とかく新しい何かが求められる傾向にあります。経営者は常に不安であるため、確実に成功できる「何か」を求めたがるものです。

しかし、ほとんどのことは言い尽くされています。成功する人や企業ほど、革新的な手法などではなく、当たり前のことを当たり前に、愚直にやり続けているというのが、4000社を超える会社設立をサポートしてきた私の感想です。

この本も「当たり前の経営」の重要性を繰り返し説いています。

●運の世界へ飛び立つ「恐怖のV字ターン」

著者はビジネスを「運の影響度合い」で分けることを提案しています。たとえば、中小企業の場合、創業期は運の影響度は高いはずです。そこから技術力を高め、顧客名簿を増やしながら実力の影響度を高めることになります。しかし、いつまでも実力を高めることをせず、運に頼った経営を続ける人もいます。

さらに、実力が多少ついた段階で、規模拡大を狙い、運の世界へ飛び立つ経営を選択してしまう人もいます。著者はこのことを「恐怖のV字ターン」と呼んでいます。

人材の育成も追いつかないまま、売上を上げるために出店を繰り返す。戦争にたとえれば、補給や輸送、整備などの「兵站」を無視した戦線拡大であり、戦前の日本軍の失敗と同じです。最近の「すき家」の失敗などは、まさに典型例ではないでしょうか。

著者は、やみくもに売上・利益を増やすことを目指すのではなく、年々実力をつけ、運の影響を減らしていくべきだと主張しています。当たり前の積み重ね、兵站の重要性を説いています。こういったリスクを減らす経営には、私も同意します。

●「兵站」を無視して進む決断が「吉」と出ることも

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