「内定式」のあと別の会社に採用が決まったら・・・元の会社を「辞退」できる?

弁護士ドットコムニュース / 2014年10月1日 10時10分

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就職活動を終えた大学生にとって、社会人への道を実感する日がやってきた。10月1日には、多くの企業で内定式が開かれ、来春入社予定の大学生に対して、内定通知書の授与や、社員との懇談会などが行われた。

しかし、最近は秋採用や通年採用などもあり、就職活動を継続していた場合、別の会社から内定が出ることもあるだろう。内定式を終えた後に、どの会社に行こうか迷う学生もいるかもしれない。

インターネットの掲示板には「内定式すぎたらもうだめなんだっけ?」「内定式後はさすがによくない」といった書き込みも見られるが、「内定」の通知を受けた後でも、入社を辞退することはできるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

●会社側の恣意的な理由で、内定を取り消すことはできない

秋山弁護士はまず、「内定」の法的位置づけから解説する。

「会社が学生に対して、採用内定通知書などで正式な『内定』を出す場合、会社と学生の間でどのような法律関係が発生するのかというと、最高裁の判例によれば、『始期付き解約権留保付きの労働契約』であるとされています」

「始期付き解約権留保付きの労働契約」とはどういった意味だろうか。

「簡単にいうと、入社日(たとえば4月1日)から働き始めるという『期限』が付いていて、かつ、従業員として不適格であることが入社日前に分かった場合には、会社の側から『解約権』を行使して内定を取り消すことがありうると『留保』している労働契約、ということです」

会社が「解約権」を行使できるのは、どんな場合なのだろうか。

「その点については、『解約権を留保した趣旨・目的に照らし、客観的に合理的で、社会通念上相当として是認できる理由があるとき』と解釈されています。すなわち、会社側の恣意的な理由で内定を取り消すことはできないと、考えられています」

●内定辞退しても損害賠償の義務は生じない

では、逆に、学生から内定を「辞退」する場合は、どう考えたらいいのか。

「内定関係は、期限や留保が付いているものの、労働契約であることには変わりがありません。そして、新卒の学生が正社員になるという場合は、『契約期間の定めのない労働契約』であることが通常です。

そして、契約期間の定めのない労働契約においては、労働者は2週間の予告期間を置けば、特段の理由を必要とせずに労働契約を一方的に解約できるとされています(民法627条1項)。

したがって、内定関係の場合でも、学生は、2週間の予告期間を置いたうえで内定辞退をすれば、有効に労働契約を解約できます。この場合、会社に対する損害賠償の義務は生じません」

つまり、内定式後に、学生が内定を辞退したとしても、会社は損害賠償を請求できないというわけだ。法的には学生の意思で辞退できることになる。ただ、トラブルに巻き込まれないためにも、辞退することになったら、きちんと会社に説明したほうがいいだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
秋山 直人(あきやま・なおと)弁護士
東京大学法学部卒業。2001年に弁護士登録。所属事務所は溜池山王にあり、弁護士3名で構成。原発事故・交通事故等の各種損害賠償請求、企業法務、債務整理、契約紛争、離婚・相続、不動産関連、労働事件、消費者問題等を取り扱っている。
事務所名:たつき総合法律事務所
事務所URL:http://tatsuki-law.org/

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