ノーベル賞・中村教授も「法改正」を批判 「特許は会社のもの」で研究者は海外へ?

弁護士ドットコムニュース / 2014年10月24日 10時25分

写真

関連画像

ノーベル物理学賞に選ばれた米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授が、社員が発明した特許を「会社のもの」とする特許法改正案に「猛反対」を表明している。中村氏は、朝日新聞の取材に対し、「私の裁判を通じて(社員の待遇が)良くなってきたのに、大企業の言うことをきいて会社の帰属にするのは問題だ」と批判している。

中村氏は2001年、発明の対価をめぐり、発明した当時に在籍していた「日亜化学工業」を相手取り提訴。2004年、一審で会社側に200億円もの支払いが命じられ、経済界に激震が走った。だが、翌年に東京高裁で和解が成立し、会社側の支払額は8億4000万円に減った。

これまで「発明の対価」を求めてきた中村氏がノーベル賞を受賞したことで、特許法改正の議論にどんな影響があるのだろうか。また、現在の改正論議をどう読み解けばいいのか。メーカーでのエンジニア経験をもち、知的財産権にくわしい岩永利彦弁護士に聞いた。

●退治したはずの亡霊に取り憑かれている人も

「中村氏の一連の裁判が『発明の対価』をめぐる議論に大きな影響を与えたことは確かです。現在の職務発明の規定である特許法35条は、2004年に大きく改正され、現行法の4項5項が加わりました。これは、対価の算定の明確化に関するものです。

2004年以前の職務発明をめぐる味の素事件やオリンパス事件、日立製作所事件といった一連の訴訟、そして、中村氏の裁判により、会社側が相次いで敗訴し、かつての従業員に高額の支払いをさせられたことが契機になっています」

では、今回の中村氏の受賞は、特許をめぐる動向に影響を与える可能性があるのだろうか。

「いいえ、ほぼゼロと思って良いでしょう。知的財産=特許制度は、技術=発明とは異なる純粋法的なものですし、受賞の理由となった研究は1980年代から1990年代初頭にかけてという昔の研究です。

ただし、訴訟リスクをあまりに恐れる企業関係者の中には、2004年法改正で退治したはずの、もはや存在しない亡霊に取り憑かれている方も多いようです。そのような方には、今回の受賞が再度の悪夢となって、法改正へのインセンティブとして強く働くことになるのかもしれません」

●今回の法改正で従業員に残るのは、主に「名誉」

では、現在の法改正の流れをどうみればいいのだろうか。

「直近で報道されているように、『職務発明』が会社帰属となり、会社には従業員への報奨を義務化するような改正となった場合、どのような影響を与えるかを考えてみましょう。

日本最大級の弁護士/法律ポータルサイト。23万件の相談実績。無料法律相談・弁護士ランキング・口コミ弁護士検索でお悩み解決。他にも弁護士費用の見積比較・法律Q&Aなどの豊富なサービスとコンテンツで「インターネットを通じて法律をもっと身近に、もっと便利に。」

トピックスRSS

ランキング