村上春樹っぽい「けいおん!」がネットで話題——「文体」に著作権はあるのか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年12月11日 9時8分

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もしも村上春樹さんが人気漫画「けいおん!」を小説にしたら、こんな作品になるかもしれない——。そんな風に思わせる文章が11月、ネットの匿名掲示板に投稿され、話題になった。

「けいおん!」は、軽音楽部に所属する女子高生たちのゆるい日常を描いたマンガ。アニメや映画にもなり、根強い人気を保っている。そんな「けいおん!」を全く方向性が異なる村上春樹風に書いてみた、というギャップが受け、ネットでも「レベル高い!」といった好意的な評価が相次いだ。

こんな試みがなされるのは、村上春樹さんの文体がそれだけ特徴的だということだ。今回投稿された文章については、「(村上春樹さんの)文体そのまんま」という声もあった。

ただ、文章を読んだ人が、その内容ではなく「文体」によって、村上春樹さんっぽいなと感じるのだとすれば、そうした「文体」そのものが著作権法で保護されるのではないか。著作権の問題にくわしい雪丸真吾弁護士に聞いた。

●「単なるアイデア」に著作権はない

「本件については、著作権法上、いろいろな論点があると思いますが、今回は『文体に著作権は認められるか』という点に絞って、一般論として解説します」

このように雪丸弁護士は切り出した。

「結論から述べると、『文体については著作権が認められない』と思われます」

なぜ「文体」には、著作権が認められないのだろうか。

「著作権が認められるためには、それが『著作物』である必要があります。

著作権法は『著作物』を、『思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの』と定義しています。

つまり、著作物と認められるためには、言葉や、文字、音、色というようなもので、具体的に『表現』されなければならないのです」

具体的に表現されているかどうかが、大きなポイントなわけだ。

「これを裏返すと、まだ『具体的な表現になる前の段階である』もの、つまりアイデアや理論、思想、感情そのものは、著作物として保護されないのですね。

こういった考え方を『アイデア・表現二分論』といいます。これは、著作権法の世界で、最も基本的なルールです」

なぜ、「アイデアは保護されない」のだろうか。

「著作権を認めるということは、その表現を『著作権者に独占させる』ことになります。裏返すと『他の人に使わせない』こともできるということです。

しかし、著作権法のそもそもの目的は、著作物の公正利用や著作権の保護を通じて、『文化の発展に寄与する』ことです。

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