未公開映画の脚本が「サイバー攻撃」で流出――その情報の報道はどこまで許される?

弁護士ドットコムニュース / 2014年12月27日 13時31分

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映画「007」シリーズの次回作の脚本など、米国の映画製作会社「ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント」の内部文書がサイバー攻撃によって流出し、大騒ぎになっている。流出した情報には、映画の脚本のほか、映画出演者の報酬や会社幹部がやり取りしていたメール、社員の連絡先や健康記録などが含まれていると報じられている。

同社は被害の拡大を防ぐため、「流出文書に基づいた記事」を書かないよう、ニュースメディアに要請した。ブルームバーグによると、要請文では、流出情報を入手しても記事にしないで破棄するよう、メディア側に求めている。要請に応じず情報を公表した場合は「損害や損失の責任を問わざるを得ない」としており、訴訟も辞さない構えだ。

たしかに、流出情報の内容の記事化は、企業の傷口を広げる側面があるといえるだろう。だが、メディア側にも「報道の自由」があるはずだ。もし同じようなことが日本で起きた場合、流出情報に基づく報道は許されないのだろうか。情報セキュリティをめぐる法律問題にくわしい福本洋一弁護士に聞いた。

●報道目的なら許されることも

「そもそも情報は、実体のない無体物ですから、所有権の対象になりません。そのため、排他的・独占的に情報の利用が保護されるわけではなく、情報の利用は原則として自由です。

ただし、著作権法における著作物や不正競争防止法における営業秘密、個人情報保護法における個人情報等のように、『情報の内容』に応じて、法的な保護や取り扱いの規制が定められているものもあります」

福本弁護士はこのように述べる。では、今回のような情報流出が日本で起きた場合、その情報に基づいた記事を書くことは問題ないのか。

「今回、ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメントから流出した情報のうち、映画の脚本等の情報については、『著作権』の侵害ではないかという点が問題となります。

ただし、『時事の事件』を報道する目的ならば、その事件の過程で見聞きされる著作物を利用できると、著作権法41条で認められています」

報道目的なら、著作権で保護された情報も利用できる場合があるわけだ。

「はい。ただし、それは『報道の目的上正当な範囲内』での利用に限定されています。

たとえば、流出した『007』シリーズの次回作の脚本の全文を掲載して報道することは、『報道の目的上正当な範囲内』とはいえず、著作権の侵害にあたる可能性が高いでしょう」

●「節度ある報道」が望まれる

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