参院選「一票の格差」縮めるため、県をまたいだ「合区」――弁護士「これでは不十分」

弁護士ドットコムニュース / 2015年8月5日 14時30分

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参議院選挙の「一票の格差」を縮めるため、定数を「10増10減」する公職選挙法改正案が7月28日、衆議院本会議で可決された。その結果、人口の少ない県をまとめて、一つの広い選挙区をつくる「合区(ごうく)」が参院選の歴史上、初めて生まれた。

今回の「合区」では、鳥取と島根、徳島と高知の4県を2つの選挙区に統合することで、定数を4削減する。さらに、新潟、宮城、長野の3選挙区の定数をそれぞれ4から2に削減する。一方で、東京、北海道、兵庫、愛知、福岡では定数を2ずつ増やす。

今回の改正で、2013年の参院選では、一票の価値が最も高い選挙区と、最も低い選挙区で最大4.77倍あった格差が、2.97倍まで縮まることが見込まれている。

一票の格差は、憲法の定める「法の下の平等」に反するなどとして、是正が求められてきた。ただ、合区については、「県ごとの民意が反映されない」といった反対の声も上がっている。憲法問題に詳しい弁護士はどう見ているのだろうか。林朋寛弁護士に聞いた。

●国会議員は「全国民の代表」

選挙区が統合されると民意が反映されなくなるという意見があるが、どう考えているのか。

「『合区』となっても、統合後の選挙区に住む国民が選挙権を失うわけではありません。その意味で、『統合されると国政に民意が反映されない』という批判はおかしいと思います。

そもそも、選挙区が統合されていなくても、国会議員は『全国民の代表』です。選挙区に利益誘導するだけの者ではなく、日本国民の代表としてふさわしいといえる者を各選挙区で選出すべきです。

今回の統合された選挙区では、山陰地方や南四国からの視点で、日本全国を見渡す人物を新たに国会に送ってほしいと思います」

地方と大都市の格差解消のために、一票の格差があっても構わないという声もあるが、どういった意見をどうみるか。

「憲法上、参議院議員は地域代表として規定されているわけでもありません。

もともと、我が国は連邦国家ではありませんから、地域代表を国会に送る歴史的必然性もありません。

連邦国家は州などの小さな国家の集まりですから、たとえば米国の場合、上院のように『州の代表』で構成する制度が採られることに理由があります。

しかし、我が国では、参議院議員に地域代表の役割を強調することは、我が国の成り立ちと整合しません。

また、都道府県制度ができてから、その境もたびたび変化していますし、より広域の自治体(道州制)に改革する議論も以前からされています。都道府県ごとの選挙区制度を固定する合理性はないでしょう」

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