「AKB運営会社」税金の申告漏れーー家賃「立て替え」が経費と認められなかったワケ

弁護士ドットコムニュース / 2015年9月16日 10時57分

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国民的アイドルグループ「AKB48」の運営会社である「AKS」(東京都)が東京国税局の税務調査をうけ、3年間で約5億円の申告漏れを指摘された。うち4億円は、事務所側が立て替えていたメンバーの家賃や旅行代金で、これを「経費」として計上したところ、認められなかったと報じられている。

9月1日の報道によると、申告漏れがあったのは2014年11月期までの3年間で、追徴課税は1億円を超えるという。AKSは、メンバーの代わりに立て替えていた家賃などについて、税金がかからない「経費」として処理しようとしたが、税務当局は課税対象となる「寄付金」と判断したようだ。事務所側は家賃、旅行代金のほか、歯の矯正料まで立て替えていたという。

今回はなぜ、経費として認められず、寄付金と判断されたのだろうか。近藤学税理士に聞いた。

●誰かに無償で物を提供した場合も「寄付金」とみなされる

「新聞報道等から知り得た情報の範囲内で、解説したいと思います。問題となった家賃は、AKBのメンバーの個人的な用途のための支出です。これを、運営会社AKSは、損金つまり、法人税法上での必要経費として処理して、結果的に5億円の法人税額や消費税額を減少させたという事実があります」

家賃などは「経費」ではなく、課税対象の「寄付金」と判断されたようだ。「寄付金」とはどのようなものだろうか。

「法人税法でいう『寄付金』は、一般にいう寄付金よりもその範囲が広い概念です。誰かに無償で物を提供した場合や、普通より安い金額で物を譲渡した場合も、税務当局が寄付金と認定する場合があります。寄付金と認定された場合、一定の限度額を超えた部分は損金になりません。 

これは、営利企業である法人が、自ら損をする行為をするのはおかしいという前提に立っているからです。むやみな寄付金は、税金を不当に減らす行為だと考えられているのです」

このように近藤税理士は指摘する。さらに、次のように続けた。

「今回、納税者側にとって痛いのは、AKSが追徴課税された上に、AKBメンバーの申告した報酬もなかったものとはされなかった点です。つまり、寄付金と認定された場合、メンバーは所得税の還付を受けることができません。我々の業界用語では、これを『往復ビンタ』と呼んでいます」

仮に、AKSが最初から、立て替え金としないで、「経費」としていたらどうだろう。申告漏れとはならなかったのだろうか。

「契約に基づいて毎期支払っていたら、国税局の見方も違っていたかもしれません。しかし、寄付金と認定されたということは、最初から経費としていてもアウトであった可能性が高いです」

近藤税理士はこのように話していた。

【取材協力税理士】

近藤 学 (こんどう・まなぶ)税理士

京都府郊外で税理士事務所を開業。マインドマップの創始者トニー・ブザンと世界NO.1の起業コンサルタント マイケルE.ガーバーという2人の世界的な知の巨人に師事。その教えを基に、最近ではExcelのVBAを研究し、資金繰表作成ソフトを開発、販売している。著書に「一番楽しい会計の本!」(ダイヤモンド社)ほか。翻訳書は「あなたの中の起業家を呼び起こせ!」(マイケルE.ガーバー著)。

事務所名   : 近藤学税理士事務所

URL:http://shikingurihyou.com

(税理士ドットコムトピックス)

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