笹子トンネル事故で遺族が「提訴」 知っておくべき訴訟のポイントは?

弁護士ドットコムニュース / 2013年6月20日 13時28分

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昨年12月の中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の天井崩落事故で、当時ワゴン車に乗っていて犠牲になった5人の遺族たちが、中日本高速道路(名古屋市)などに対して損害賠償を求める訴訟を5月15日に起こすと報じられている。

各社の報道によると、遺族は中日本高速道路と保守・点検業務を担っていた中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京(本社、東京都新宿区)の2社に対し、事故を回避する注意義務を怠った過失があるとして、使用者責任などを問う。今回、遺族の代理人を務める弁護士は、国の責任を合わせて指摘しながらも、訴訟が長びく懸念などから国賠訴訟は断念したという。

高度成長期のインフラが続々と老朽化する中、今回のような痛ましい事故を繰り返さないためには、しっかりと業者や国が負うべき責任範囲を明確にしておく必要があるだろう。訴訟を見守るうえで知っておくべきポイントを、前川直輝弁護士に整理・解説してもらった。

●責任は明らか。遺族の気持ちに配慮しつつ、原因の徹底究明を

——損害賠償は認められるでしょうか。

「トンネルの壁や天井が道路に落下して、直接自動車に衝突するなどした場合、中日本高速道路株式会社はその安全点検や補強・改修工事を怠った責任がありますし、点検の不備についてその任に当たっていた会社も責任を負うことが明らかでしょう」

——それでは、訴訟は今後どうなりそうですか。

「一般に、損害賠償訴訟の直接的な目的は金銭の支払ですから、責任に争いがなければ、和解が成立するケースも多いです。しかし、今回は未曾有のトンネル事故で、多数の死傷者が出ていますから、ご遺族や被害者の方々としては、一体何が原因で事故が発生したのか、真実を解明したいというご希望が強いのではないかと想像します」

——原因解明とは、具体的にはどんなことですか。

「今回の事故原因については、天井板を支えるボルトが外れていたことが挙げられています。その点について、検査で見落としがあったのは間違いないにしても、それ以外の要因も複数考えられます。検査の方法、人員体制、ボルトや周辺部品の耐久性、天井の構造上の欠陥、トンネル自体の構造が適切であったか、というように複合的な原因が重なった可能性があります。

二度と同じことが起こらないように、事故原因を徹底的に究明し、各地の道路を管理する国、地方自治体、企業に十分な管理を行わせる。原告の皆さんの気持ちに十分配慮する必要はありますが、今回の裁判はその契機とするべきです」

前川弁護士は「私たちもいつこういう被害に遭うか分からないのですから、自分たちの問題として推移を見守りたいものです」と話す。今回、国賠訴訟は提起されないようだが、国や自治体側も責任が全くないとはいえないだろう。その責任を自覚して、しっかりと原因究明に取り組んでもらいたい。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)

【取材協力弁護士】
前川 直輝(まえかわ・なおき)弁護士
しんめい法律事務所 共同代表弁護士
2001年大阪弁護士登録。国際契約その他英語による法律相談・書類作成、中小企業法務、債権回収、損害保険、刑事事件など幅広く扱う。弁護士ブログ更新中。
http://shinmeilaw.blog91.fc2.com/
事務所名:しんめい法律事務所
事務所URL:http://www.shinmei-law.com

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