村上春樹さん、高校時代の図書室「貸出記録」が公開ーープライバシー侵害ではないか?

弁護士ドットコムニュース / 2015年10月14日 12時5分

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著名人がどんな子ども時代を過ごしていたかは、メディアでも定番の企画だ。このたび、作家の村上春樹さんが、兵庫県立神戸高校に在学中に図書室で借りた本の「貸し出し記録」が発見され、注目を集めた。

「村上春樹さん 高1でケッセル愛読 神戸の母校に貸し出し記録」と報じた神戸新聞(10月5日)の記事によれば、廃棄寸前の図書室の蔵書を元教員が整理していたところ、高校1年だった村上さんが、フランスの作家ジョゼフ・ケッセルの著作を借りていたことを示す「帯出者カード」を発見したという。

しかし、どんな本を読むのかは、その人の思想にもかかわる重要なプライバシーのはずだ。今回、記録の公開をめぐって村上さんの同意があったか否かは不明だが、図書の貸し出し記録のような個人情報が報じられることは、著名人にとって、やむを得ないことなのだろうか。佃克彦弁護士に聞いた。

●「公表する理由」に正当性はあるか?

「人の読書歴がプライバシー権によって保護されるということは、一般論としては、肯定されます」

このように佃弁護士は切り出した。

「しかし、読書歴を明らかにすることが、プライバシー侵害として違法になるかどうかは、ケースバイケースです。具体的には、どのような人につき、いかなる読書歴が明らかにされたのかによって、違法か否かの結論が変わります。

最高裁は、プライバシー侵害として違法になるかどうかは、その事実を『公表されない法的利益』と、それを『公表する理由』とを比較衡量して、公表されない法的利益のほうが優越する場合に限って違法になるとしています」

今回のケースでは、どう判断されるのだろうか。

「村上氏は日本を代表する作家であり、そのような人が若いころにどのような書籍に親しんでいたかは社会の重大な関心事であって、『公表する理由』にかなりの正当性があるといえます。

また、今回明らかにされたのは、村上氏が、フランスの極めて著名な作家であるケッセルの著作を読んでいたという事実であり、人が通常公開を欲しないような事柄であるとは必ずしも言いがたく、『公表されない法的利益』が大きいとはいえません。

これらを踏まえると、『村上氏が高校時代にケッセルの著作を読んでいた』という読書歴が公開されたとしても、村上氏のプライバシーを違法に侵害することにはならないと思われます」

●死後の「プライバシー」は保護されるのか?

しかし、図書の貸し出しの記録を公開することが、プライバシー侵害にあたるケースもあると佃弁護士は指摘する。

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