「他の患者の送迎をただで手伝わされた」元患者が都内「精神科クリニック」を刑事告訴

弁護士ドットコムニュース / 2015年10月14日 21時4分

写真

関連画像

東京都内の精神科クリニックの元患者が「他の高齢患者の送り迎えや歩行訓練の補助といった労働を、無償でさせられた」として、クリニックの運営団体や関係先を刑事告訴した。最低賃金法や労働基準法に違反するとしている。東京都大田区に住む元患者の男性(50)は10月14日、告訴状が上野労基署に受理されたとして、都内で記者会見を開いた。

この男性は、東京都台東区にあるクリニックに患者として通っていた今年4月2日から8月7日にかけて、そのクリニック内で高齢患者の送迎や歩行訓練を補助する業務を、無償あるいは時給111〜125円の低賃金でさせられた、と主張している。

代理人の中川素充弁護士は「高齢患者の送迎補助は、患者の転倒リスクを伴う危険な作業。歩行訓練補助は治療行為にかかわる作業で、本来どちらも職員がやるべきものだ。それを他の患者にさせるなんて、他の医療現場では考えられない」と、クリニックの姿勢を批判した。

男性の弁護団は、クリニックの非常識な姿勢の背景に、悪質な「貧困ビジネス」があると指摘している。

●患者なのに「補助作業」をすることに・・・

男性や代理人の説明によると、元患者の男性はアルコール依存症で、「デイナイトケア」という治療プログラムを受けるため、2014年9月からこのクリニックに通っていた。この男性が、高齢患者の送迎補助を始めたのは2015年4月のことだ。自力で歩くのが困難な患者が車でクリニックに到着すると、その横に付き添って、2階や3階のフロアまで案内する作業だ。

職員から「ホームヘルパーの資格を持っていたら食いっぱぐれない」「ボランティアをしていれば資格が取れる」といった趣旨の説明を受けたことがきっかけだったという。

2015年4月〜5月は「無給のボランティア」として、作業にあたった。同年6月からは「クリニックの関連会社に所属してもらう。社員として扱う」といわれ、「社員証」を手渡されたうえ、最初の数日はタイムカードも押していたという。男性は週に3日、1日当たり40人〜45人の送迎を補助した。作業時間は1カ月で約39時間に及んだが、報酬は1カ月4320円だったという。

実際には、作業内容がいっこうに資格に結びつかず、お金も十分にもらえないため、男性は文句を言ったこともあったが、職員には笑ってごかまされたという。「途中で作業をやめたら何を言われるかわからない」と考えて、作業を続けていたと男性は話した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング