シャープに機械設備費「8億円」を求めて提訴・・・「口頭」契約でも認められるか?

弁護士ドットコムニュース / 2015年10月20日 10時43分

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大手家電メーカー「シャープ」から機械設備の製作を受注したのに、納品を拒否されて代金も支払ってもらえないとして、京都の製作会社「片岡製作所」がシャープに約8億円の支払いを求める訴訟を起こした。10月13日の第1回口頭弁論で、シャープ側は争う姿勢を示したという。

報道によると、片岡製作所はシャープから打診を受けて、2010年8月、海外工場に設置する「太陽電池の製造ライン」を約8億円で製作する契約を、口頭で締結したと主張している。両社の間では、30年以上の取引慣習により、発注書は納品間近に交付することになっていたという。

片岡製作所は2011年10月に製造ラインを完成させたが、シャープが発注書を交付せず、2014年には納品を拒否され、発注の事実まで否定されるに至ったのだという。今回、片岡側は、約8億円もの契約を「口頭」で締結したと主張しているが、契約書がなくても有効なのだろうか。企業法務にくわしい今井俊裕弁護士に聞いた。

●書面がなくても「契約」が認められる可能性がある

「あくまで契約書にまつわる一般論ですが、企業間の取引では、その取引額が大きいものであれば、契約書面が作成されることがほとんどです。

例外はあると思いますが、特に、新しい取引先との契約や、リスクを厳密に予想できないタイプの取引では、会社内の決済の問題もあり、契約書が作成されることが通常です」

今井弁護士はこのように述べる。細かい発注が多い場合、そのたびに契約書を作成していてはスピード感に欠けるケースもある。その場合はどうなるのか。

「一回限りの商品の納品ではなく、継続的に原材料の発注と納品を繰り返すタイプの契約であれば、最初にその大元となる『取引基本契約書』を作成します。そのうえで、個別の発注については、そのたびに注文書や請書などで、相互に契約意思を確認しあうこともあります。

このような場合、『取引基本契約書』に加えて、個別の注文書や請書もあわせて、全体として契約内容を構成するものとなります。

その個別注文ごとに売買契約書を作っていたのでは、互いに手間を要するからです。また、契約条項の管理も、その作成ごとに確認しなければならず、互いにとって不便な面があるからです」

では、もし仮に、契約書がまったく作られなかった場合、契約の成立は認められないのか。

「そうとは限りません。

(1)それまでの当事者間の取引関係の有無や内容

(2)一方当事者が義務と認識して、その履行準備に至るまでの経緯や程度

(3)それに与えた相手方担当者の言動

などを踏まえ、総合評価したうえで、契約が締結されたと認めることができるか否かが判断されます。

また仮に、これらの諸事情を踏まえて、契約の締結が認められない場合であっても、『契約を将来的に締結してもらえる』あるいは『締結してもらえた』と、相手方に誤解を与えるような言動に落ち度があった場合、損害賠償責任を負う可能性もあります」

今井弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
今井 俊裕(いまい・としひろ)弁護士
平成11年弁護士登録。労働(使用者側)、会社法、不動産関連事件の取扱い多数。具体的かつ戦略的な方針提示がモットー。行政における個人情報保護運営審議会、開発審査会の委員を歴任。
事務所名:今井法律事務所
事務所URL:http://www.imai-lawoffice.jp/

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