郵便局員が3万通の「郵便物」を配達せずーー日本郵便に賠償責任がないってホント?

弁護士ドットコムニュース / 2015年11月11日 13時5分

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日本郵便四国支社は11月9日、香川県三豊市の高瀬郵便局で働く配達担当の女性社員(23)が、約2万9000通の郵便物を配達しないで隠していたことを発表した。同支社の広報担当は弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「まだ警察に相談している段階だが、郵便法77条に違反するとして被害届を出す可能性がある」と話した。

女性社員は2013年12月ころから2015年11月7日まで、担当エリアの郵便物を配達せず、自宅や通勤用の自家用車、職場のロッカーなどに隠していたという。郵便物のほとんどは企業が出すダイレクトメールで、書留などは含まれていない。郵便物に損傷はなく、開封した形跡もないそうだ。日本郵便四国支社がすべての郵便物を回収し、調査が終わりしだい、受け取り人に配達する予定だという。

女性社員は2010年に採用され、勤務歴は5年7カ月に及ぶ。同支社は、女性の勤務態度について、「特に問題はなかったと聞いている。郵便物を隠した動機は『やる気がなくなったから』ということで、仕事やプライベートでのストレスがあったようだ。調査結果を受けて、社内規定に基づいて処分する」という。

今回のように、配達が遅れたことで、郵便物を受け取る人に何らかの損害が発生した場合、日本郵便は賠償責任を負うのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

●「日本郵便に賠償の責任はない」

「郵便法では、損害賠償の対象となる郵便物の種類や範囲が細かく決められています。それによると、現金書留や簡易書留は、損害賠償の対象になります。しかし、今回のような通常の郵便物については、配達局員が隠して配達せず、何らかの損害を生じさせても、日本郵便に賠償の責任はありません」

濵門弁護士はこのように説明する。なぜ郵便物を隠しても、賠償責任がないのだろうか。

「仮に、一般企業と同じような損害賠償責任を日本郵便に負わせると、リスクに備えるため、料金を引き上げたり、配達局員がもっと慎重に配達業務をせざるを得なくなります。

郵便事業は『なるべく安い料金で、あまねく、公平に提供すること』(郵便法1条)を目的としています。もし、リスクに備えて料金を値上げしたり、配達に時間がかかるようになると、その目的を果たせなくなるおそれがあります。

そのため、民営化された現在も、郵便事業は、損害賠償を一部免責されているわけです」

●配達局員個人には請求できるのか?

では、日本郵便への損害賠償請求ができないとしても、配達局員個人に対して、賠償を請求できないのだろうか?

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