外れ馬券は「必要経費」か? 巨額「競馬脱税事件」の判決の行方は?

弁護士ドットコムニュース / 2013年5月22日 19時13分

「まず、(1)の『直接に要した費用』についてですが、競馬における収入である『払戻金』を得るために『直接に要した費用』は、当たり馬券の購入費です。当たり馬券の購入があったからこそ収入を得ることができた、という関係にあります。これに対して、外れ馬券の購入費は収入とは『直接』の関係はありませんので、(1)の『直接に要した費用』には該当しないのではないかと考えられます」

では、(2)の『販売費や一般管理費など、所得を生ずべき業務についての費用』については、どうだろう?

「この点については、問題の費用が『所得を生ずべき業務』に必要不可欠だったかどうか、という観点で判断されます。競馬では、馬券を1枚しか購入しなくても当たる人もいれば、馬券を100枚購入しても全て外れる人もいますので、外れ馬券の購入費が『所得を生ずべき業務』(当たり馬券の購入)に必要不可欠であったとまではいえないのではないか、と思われます」

このように奥山弁護士は述べるが、「しかし」と言って、次のように続ける。

「被告人の男性は、過去のレースデータを基に独自の競馬予想ソフトを開発したということです。オッズに対して掛け金の配分を変える方式で、レースごとに黒字になるシステムをつくりあげて、多数の馬券を購入していたとのことですので、一定の割合で外れ馬券が生じることも、織り込み済みのシステムだった可能性もあるのではないかと思います。

詳細な主張立証の状況はわかりませんが、被告人の男性が利用していたシステムでは、払戻金を得るためには、必ず外れ馬券も発生するシステムのようにも思えます。そう考えると、外れ馬券の購入費も『所得を生ずべき業務について生じた費用』に該当する、という解釈も成り立つ可能性もあるのではないかと思います」

つまり、外れ馬券の購入費が「必要経費」として認められる余地がないわけではない、ということだ。

●馬券購入は、先物取引やFXと似ているのではないか?

さらに、奥山弁護士は、先物取引やFXと馬券購入の類似性にも注目する。

「先物取引やFXによる所得については、年間を通じて『得した額』から『損した額』を引いた純利益に対して課税されることになっています。弁護側は、競馬による所得についても先物取引やFXによる所得と同様に考えてほしい、といった主張をしているとのことです。

先物取引やFXによる所得は税法上、一般的には『雑所得』とされていますが、競馬による取得は『一時所得』とされています。したがって、先物取引やFXと全く同じように考えることができるわけではありません。しかし被告人の男性は、競馬ソフトや計算式を利用したシステムに基づいて、馬券を購入して投資効率を高めていたとのことですので、証券取引と類似する側面がないわけではないと思います」

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