敵意をむき出しにした「ヘイトスピーチ」 新たな法律で規制すべきか?
弁護士ドットコムニュース / 2013年5月23日 22時14分

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「ゴキブリ朝鮮人を日本から叩き出せ」「韓国人ぶっ殺せ」といった過激な言葉で在日韓国・朝鮮人を激しく非難するデモが、東京・新大久保などのコリアンタウンで頻繁に繰り広げられ、問題になっている。このような敵意をむき出しにしたアピールは「ヘイトスピーチ」(憎悪表現)だとして、国内外から批判する声が高まっている。
今月には、安倍晋三首相や谷垣禎一法相などの政府首脳があいついで「苦言」を呈するまでに至った。弁護士の中でも「現状は傍観できない段階」だとして、警察に「適切な行政警察活動」を申し入れたり、弁護士会に人権救済申立てを行ったりといった動きが起きている。
「ヘイトスピーチ」に対する問題意識は日に日に高まっているといえるが、具体的にどのような対策をとるべきなのかは、論者によって意見が分かれる。新たな立法をしてヘイトスピーチを取り締まるべきだという意見がある一方で、「表現の自由」を尊重する立場から過度の規制に反対する声もある。そこで、「新たな立法を検討すべき」という中川重徳弁護士と「新しい法規制は不要」という齋藤裕弁護士に、それぞれの主張とその論拠を聞いた。
●中川弁護士「法規制は必要。規制を真剣に議論することそれ自体が重要だ」
「実際に新大久保のデモ現場へ行き、数時間様子を見てきました。『深刻でひどい内容だ』というのが率直な感想です。ヘイトスピーチが人権侵害であることは間違いなく、憲法上保護されるべき『表現の自由』の範囲も逸脱していると考えます。
今までの議論を超えて法規制を考えるべきときが来ています。言論には言論での対抗が理想ですが、言論を超えた重大な人権侵害が目の前にあります。在日コリアンは日本社会で、私たちと隣あって学び、仕事し、生活しています。その彼らに向かって『死ね』とか『殺せ』とか『帰れ』とかいうデモが公然と企画され、呼びかけられて、行われるというのは許せない。特にそれを唱道し、煽動する行為については、刑事罰があってしかるべきでしょう。
もちろん慎重論も理解できます。人権救済申立人の中でもいろいろな意見があります。『表現の自由には優越的地位がある』と憲法の教科書に書いてあっても、日本社会の現状や判例をみると全くハッキリしない。そんな状況下で、表現規制を強める危険について、心配するのは当然のことです。
ですから、立法にあたっては、特に慎重な姿勢で望む必要があります。まず、どの範囲の行為を、どういう形で処罰することが必要・有効なのか決めるため、『ヘイトスピーチ』について綿密な調査をしなければなりません。また同時に、社会的・政治的な取り組みも含めて、新たな法規制よりも人権制限の程度が弱い『他の手段』がないか、実際にやれることはやって徹底的に議論・検証する作業が絶対に必要です。
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