健全な乳房を切除!? 「予防的な医療行為」はどこまで許されるのか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年5月27日 14時1分

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ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳がん予防のため、乳房を切除したことを告白したことは、日本でも大きな反響を呼んでいる。報道によると、ジョリーさんは、遺伝子検査の結果、乳がん発症リスクが87%、卵巣がん発症リスクが50%であることが判明したため、乳房切除を決めたという。手術を受けたことで、ジョリーさんの乳がんリスクは5%にまで減少したそうだ。

将来のがん予防のための乳房切除手術については、日本国内でも、がん研有明病院と聖路加国際病院が実施に向けた準備を進めている。遺伝子の異常を指摘され、発がんのリスクに怯える人には朗報かもしれない。一方で、がんの発症リスクが高いとはいえ、健康な身体を傷つけることに抵抗をおぼえる人もいるだろう。

また、病気を治療することを本来の仕事とする医師の行為としても、適正といえるのだろうか。いつか病気になるかもしれないとはいえ、いまは特に異常がない肉体にメスを入れて、その一部を切り取ってしまう。こうした行為はそもそも、医師に許された「医療行為」と言えるのだろうか。また、それは、将来の病気の発症確率によって変わってくるのだろうか。医師や医療従事者の案件を多数扱っている山田昌典弁護士に聞いた。

●医師の取り扱う業務の範囲が広がっている

「現在、医師の取り扱う業務は、病気の治療のみに限られません。疾病の予防も医師の業務として注目を増してきています。

リハビリテーションを専門とする医師(リハビリテーション科専門医)の数も、増加傾向にあります。また、治療を目的としない行為も、医療行為に含まれるとされており、たとえば、美容整形行為も医療行為と解されています」

医師の業務を取り巻く現状について、山田弁護士は、こう説明する。

「そもそも、法律が、医療行為を業として行うために資格を要することにしている趣旨は、国民の生命・健康を守ることにあります。

このような、国民の生命・健康を守るという観点からすれば、乳がん予防のために、遺伝子検査によって発症リスクを判断し、生命・健康に及ぼす影響を告知・説明するという重い責務を負うのにふさわしいのは『医師』であるといえます。また、乳房の切除については、人体に危害を及ぼすおそれのある行為ですから、やはり『医師』がその任にあたるべきです」

●「美容整形行為」が、治療目的の医療行為とは異なることを重視した裁判例もある

このように山田弁護士は述べるが、外科手術は表面的に見れば、他人の肉体を傷つける行為にほかならない。

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