「妊娠したらクビ?」 妊娠・出産にからむ「マタニティ・ハラスメント」への対処法

弁護士ドットコムニュース / 2013年6月20日 10時33分

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「妊娠したらクビだと言われた」「採用時、妊娠しないと約束させられた」――。出産や妊娠に関する、職場での嫌がらせが社会問題化している。問題意識を共有するため、こういった嫌がらせを「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」と呼ぶ動きがでてきた。

ただ、浸透はまだまだだ。2013年5月、連合非正規労働センターが実施した意識調査によると、「マタハラ」という単語の意味を理解していたのは、わずか6.1%だった(有効回答数626)。同調査では、妊娠経験者の25.6%が「マタハラを受け」たが、そのうち45.7%が「相談せずに我慢した」と回答。セクハラなどに比べて認知度が低いため、だれにも訴えることができずに悩んでいる女性が多い実態が浮き彫りになった。

同調査には、「妊娠中・産休明けに残業・重労働を強いられた」「雇用形態を変更された」「嫌がらせをされた」「心ない言葉をかけられた」といった声が寄せられている。こういった職場での「マタハラ」を禁じる法律はないのだろうか。もし、被害を受けたら誰に相談すればいいのだろうか。橋本智子弁護士に聞いた。

●妊娠・出産を理由にした解雇は、明確な法律違反

「マタハラには、はっきりした違法行為も少なくありません」

橋本弁護士は、こう切り出した。

「たとえば妊娠したことを理由にして、解雇など不利益な取扱をすることは、男女雇用機会均等法によって明確に禁じられています。それは立派な違法行為。労働局などに相談すれば、行政指導などによって、事態は(少なくとも表面上は)改善するでしょう。他にも重労働をさせてはならない等、妊産婦を保護する法律はいくつかあります」

このように「明確に違法」なケースについては、ある意味、決断がしやすそうだ。では、そうでない場合はどうか。

「表面上は法律に違反しないようにしながら、わざと負担の重い仕事を押し付けたり、嫌がらせで自主退職に追い込むなどの『脱法的行為』については、問題がより複雑とも言えます。労働局や裁判に訴えても、今後の働きやすい環境までもが保障されるわけではありません。むしろ不利益を撤回させ、未払いの賃金や慰謝料などを手に入れたとしても、その会社には居づらくなるケースが多い。ここが労働問題の本当に悩ましいところです」

もし、そんな被害に遭ったらどうしよう。そう考えただけで、くらくらしてくる。

「マタハラが横行するのは、社内にそれを許容する土壌があるからではないでしょうか。はたして、育児をしながらそのような会社で働き続けられるのか・・・。そう簡単に割り切れる話ではありませんが、これは決して外せない視点です。

一方で、もしそれが個人的な嫌がらせの範囲内であれば、社内のセクハラ窓口や組合に駆け込むのも一手です。配置転換などによって、大きな改善があるかもしれません」

それでも最終的には、自分自身で何らかの決断をするしかないのだろうか――。

橋本弁護士は「確かに法律でズバッと解決できるとは限らない問題ですが、一人で悩む必要はありません。弁護士など周囲に相談することで、解決のための糸口をつかんでください」とアドバイスしている。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)

【取材協力弁護士】
橋本 智子(はしもと・ともこ)弁護士
大阪弁護士会所属 犯罪被害者支援委員会 委員
共著書『Q&Aモラル・ハラスメント 弁護士とカウンセラーが答える 見えないDVとの決別』(2007年、明石書店)
事務所名:あおば法律事務所
事務所URL:http://www.aoba-osaka.jp/

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