シン・ゴジラ「マスが崩壊した時代」ならではのやりたい放題感~境真良氏の感想

弁護士ドットコムニュース / 2016年8月21日 10時42分

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『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明が総監督をつとめた映画『シン・ゴジラ』が大ヒット上映中だ。7月29日の公開から3週間目で観客動員230万人、興行収入33億円を突破した。ツイッターやブログなどでも「すごい映画だった」といった絶賛の声があがり、何回も観に行くリピーターも多くいるようだ。

アニメや漫画、特撮など「コンテンツ」に造詣が深い国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)客員研究員で、現役官僚の境真良氏はどのような感想を抱いたのか。境氏に寄稿してもらった。

(本文は一部ネタバレを含みます。ご了承のうえお読みください)

●「賞賛しないといけない空気になっている」

『シン・ゴジラ』は、すごい映画だ。何がすごいって、賞賛しないといけないような空気になっているのがすごい。いやいや、天邪鬼にもなんてイヤミをいうんだと思われるかもしれないが、それだけの空気を巻き起こすのは、やはり非凡な映画である証拠だろう。

それぞれ『DAICON FILM』の一員として伝説の自主作品に関わり、『新世紀エヴァンゲリオン』でその名を不動のものとした庵野秀明氏と、平成『ガメラ』で世に出た(というか、筆者はそれでその名を知った)樋口真嗣氏が牽引したこの作品を観た最初の感想は、誰かがネットで呼んだとおり、まさに『自主映画』であった。

それも、いわゆる『オタク第一世代』のいい大人が、これでもかというくらいのキャスト、技術人材、資金その他の商業映画のリソースを使って思う存分につくった贅沢な自主映画だ。

過去の作品へのオマージュや、現実の武器や機器などのリアリズムへのこだわりは、『作り手の全開感』のとばしりとなって、観客を魅了する。メカニックの描写、登場時のテロップ、BGMの入れ方など、こだわりがわかって共感できる人たちはなおのこと、そうでなくてもまるで文化祭のような『空気』はどことなく楽しいものだ。

●「なぜCGなのか」という疑問について

実は、筆者が鑑賞前に気にしていたのは、登場するゴジラがCGで描かれるという情報だった。円谷流の『特撮』を愛する彼らとしてみれば、やはりそこは『着ぐるみ』でくるのではなかったか。なぜCGなのかとずっと思っていた。

だが、観すすめるうちに、そんな杞憂はどこかに飛んだ。まず、第一に、爬虫類らしい眼のゴジラは、映像として成功している。作品中で上手く消化しきれてはいない気もするが、(おそらく)群生体であるこのゴジラは、私たちがこれまでの『ゴジラシリーズ』で目にしたような単なる巨大生物・ゴジラではない。

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