遺体写真でストレス障害、「元裁判員」の敗訴確定…「心の負担」にどう配慮すべき?

弁護士ドットコムニュース / 2016年11月9日 10時5分

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強盗殺人事件の裁判員裁判で、殺人現場の写真を見たことなどで「急性ストレス障害」になったとして、元裁判員の女性が国に損害賠償を求めていた訴訟で、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は10月25日、女性の上告を退ける決定を下した。これにより、女性が敗訴した1審、2審判決が確定した。

女性は2013年、福島県で夫婦2人が殺害された強盗殺人事件の裁判員をつとめた。公判で、殺害現場の写真を見たり、被害者が助けを求める電話の音声を聞くなど、衝撃的な証拠に接することで体調を崩し、急性ストレス障害と診断された。しかし、1審、2審ともに、女性側の請求を棄却していた。

裁判員制度がはじまってから、今年で7年が経ったが、今回のケースに見られるように、裁判員の「心の問題」は置き去りにされていた面がある。現行の裁判員制度の問題点について、金井英人弁護士に聞いた。

●一度受けた精神的ダメージを回復することは容易ではない

「裁判員制度が導入されて以来、こうした『心理的負担』を生じるような証拠に裁判員が接することは、制度の運用上やむをえない事態として扱われていました。

裁判員が『心理的負担』を回避するには、裁判員を辞退するしかありませんが、辞退するための条件は、限定的なものになっています。

また、心のケアのためのメンタルヘルスサポートも用意されてはいますが、一度受けてしまった精神的ダメージを回復することは容易ではありません」

裁判員が「心理的負担」を負わないような対応はとられていないのだろうか。

「最近では、衝撃的な写真について、写真そのものではなく、写真の内容をイメージしたイラストで代用するケースや、そのような写真が証拠として存在することを事前予告するケースなどもでてきました。しかし、そうした配慮も、個々の裁判所の判断にゆだねられているのが現状です。

一方で、被告人にも、適正な手続のもとで裁判を受ける権利が保障されています。裁判員が証拠そのものに接しないのは、被告人の権利との関係で、証拠調べが適正におこなわれたといえるかという疑問が生じます」

●「リスク回避の手段を十分に確保する必要がある」

今年5月には、裁判期間中に、裁判員が暴力団関係者から「声かけ」されたという事件もあった。

「裁判員に対する『声かけ』などの行為は、法律上処罰の対象にはなっていますが、反社会的組織に所属する人物から接触された恐怖や不安は、裁判終了後も裁判員の心理的負担になります。

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