新路線の名前は「北陸新幹線」か「長野新幹線」か?新幹線の名称はどうやって決まる?

弁護士ドットコムニュース / 2013年7月17日 12時9分

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2015年春に長野から金沢までの開業を予定している「北陸新幹線」の名前をめぐり、長野県と北陸地方の石川・富山両県の間で論争が繰り広げられている。

北陸新幹線は1997年に長野まで先行開業していて、現在は「長野新幹線」という通称で運行している。長野県の阿部守一知事は、2013年2月20日の記者会見で「長野という呼び名は定着している」として、金沢まで開業したあとも「長野」の表記を残すよう要望した。

これに対して、富山県の石井隆一知事は2月19日の記者会見で「法令では『北陸新幹線』と明確に書いており、それが基本だ」と表明。石川県の谷本正憲知事も6月25日、「北陸新幹線という名称を使うのが常識的」と県議会予算委員会で述べた。両県に譲る気配はない。

現在も名前をめぐり、熱いバトルが繰り広げられているようだが、新幹線の名前は法律で決められているのだろうか。鉄道にくわしい前島憲司弁護士に聞いた。

●「北陸新幹線」という路線名は法律で決まっているが「通称・愛称」は自由

「新幹線の呼称については、全国新幹線鉄道整備法4条に基づいて国土交通大臣が決定する『建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画』に規定されています。

北陸新幹線については、昭和47年告示第243条に規定されており、路線名は『北陸新幹線』と定められております」

――では、法律論としては、結論はすでに出ている?

「そうですね。もっとも、正式名称があっても、それとは別に通称、愛称を使うことは禁止されておりません。通称、愛称のつけ方も原則自由です。

そもそも『長野新幹線』自体が通称です。北陸地方に乗り入れていない新幹線を『北陸新幹線』と呼ぶことには違和感があり、誤解も生じることから、これまではそう呼ばれていました。しかし今回の延伸で、北陸地方の金沢駅まで乗り入れることになりますから、名実ともに『北陸新幹線』となります」

――『長野』が残る可能性も、まだある?

「はい。法律的には通称への制限はありませんからね。ただ、利用者としては、定着しない通称・愛称だけは使ってもらいたくありません。

かつて、国鉄からJRに移行した際、『国電』と呼ばれていた通勤電車に『E電』という名称が付けられましたが、自然消滅した経緯があります。『長野』の通称を残すにしても、本当に利用者に浸透するかどうか、よく検証してもらいたいと思います」

今回の論争は、新幹線が通る地域の県知事という「為政者」によるものだ。しかし、前島弁護士が指摘するように、重要なのは、新幹線を利用する乗客にとって、どんな通称がわかりやすいかということだろう。この「名前論争」が、乗客の目線もふまえて行われることをのぞみたい。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)

【取材協力弁護士】
前島 憲司(まえじま・けんじ)弁護士
横浜弁護士会・就業問題対策委員会委員。裁判所書記官として10年以上勤務した経験がある。鉄道模型や全国の鉄道を乗りつぶすことが趣味。中国、インド、キューバなど海外に蒸気機関車の写真を撮りに行ったことは10回以上。
事務所名:弁護士法人前島綜合法律事務所
事務所URL:http://www.law-maeken.jp

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