飲食店や職場内「原則禁煙」とする厚労省案公表…自民たばこ議連案と比較して検証

弁護士ドットコムニュース / 2017年3月12日 9時57分

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他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」への対策を盛り込んだ健康増進法改正案の基本的な考え方が、3月1日に公表された。現行法では、禁煙は多くの施設で「努力義務」だ。この日、厚生労働省が公表した改正案では、施設に応じて「敷地内」または「屋内」を「原則禁煙」とし、違反すれば「30万円以下の過料」など、規制を強化する。

他方、厚生労働省案に対抗して、自民党たばこ議員連盟が、3月7日、対案を発表した。「喫煙を愉しむこと」は憲法に定める幸福追求権だと主張し、対案では、飲食店は禁煙・分煙・喫煙から自由に選ぶことができ、表示を義務化する。

ネット上では、厚労省案について、「喫煙者が多い店に入るのためらうから、めちゃくちゃ嬉しい」と歓迎の声があがる一方で、「小さい個人店の居酒屋は潰れるぞ」などの指摘もあった。対策についてどう考えるべきか、受動喫煙に関する係争を扱う岡本光樹弁護士に聞いた。

●「たばこ議連は、議論の出発点を誤っている」

自民党たばこ議員連盟は、「喫煙を愉しむこと」は、憲法に定める幸福追求権だと主張しています。しかし、最高裁昭和45年9月16日判決は「喫煙の自由は、あらゆる時、所において保障されなければならないものではない。」とし、仮に権利であるとしても制限に服しやすいものにすぎない、と解釈されています。たばこ議連の主張は、最高裁判例の趣旨を正しく理解せず、人々に誤解を与えるものです。

また、たばこ議連の議員は、「法律で締めつけるのではなく、マナーで解決すべきだ」などと主張しているようですが、これも、今回の法案の必要性を全く理解していないといえます。現行の健康増進法や労働安全衛生法の「努力義務」規定では限界があり、依然として飲食店や職場等での受動喫煙が多いため、厚労省は、今回の法案で罰則(喫煙者:30万円以下の過料、管理者:50万円以下の過料)を導入しているのです。

たばこ議連は、「たばこの消費削減を目的としてはならない」という主張も行っています。しかし、日本も、たばこ規制枠組条約(168カ国以上加盟)を批准しており、締約国は、たばこの消費を減少させる措置及び受動喫煙を防止する措置を実施すべき義務を負っていますので、議連の主張は、条約に照らして誤っています。

この点には、税収確保を目的とした「たばこ事業法」と、たばこ削減を目的とした条約との矛盾を長年にわたり放置してきた我が国の問題が現れていると言えるでしょう。しかし、条約が法律よりも法規として優位です。

●「両案の対立、最も顕著なのは『職場』と『飲食店』」

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