自動ブレーキ過信した「ひとりチキンレース」で追突事故…求められる設計思想とは?

弁護士ドットコムニュース / 2017年4月23日 7時57分

そうだとすれば、運転席にいた客に刑事責任はなく、指示した店員こそ、運転者としての責任を問われるともいえそうです。しかし、この場合、運転席にいなかった店員に運転者としての罪責を問えるのかという、刑法学上の難問が発生します。

また、今回の事故は『人間は自動システムを過信しがちである』ことに警鐘を鳴らしているともいえます。たとえば、最近の自動車は、暗くなるとヘッドライトが自動点灯するため、手動点灯方法を忘れてしまった人や咄嗟に思い出せない人が多いようです。

おそらく、同乗していた店員も、自動ブレーキシステムの性能を試したのは、今回が初めてではないでしょう。事故以前、自動ブレーキシステムが作動する様子を何回も見るうちに過信が生じて、客に『ブレーキを我慢して』と指示するようになったと想像します」

●「人間の性(さが)に配慮した設計思想が求められる」

「自動システムへの過信から事故が起きた場合、過信した人間がその責任を問われることは当然です。しかし、自動システムを過信することが人間の性(さが)であるとすれば、システムを設計する側も、人間の性(さが)を前提とした設計をおこなう義務を負うといえます。

たとえば、米テスラの開発した最新のオートパイロットシステムは、運転手が手を常時ハンドルに置いておかなければ、警報を発してオートパイロットが解除され、減速・停止されます。さらに、警告に反応しなかったドライバーが、再度オートパイロットモードにしようとしてもできないという『ストライクアウト』システムを採用したといいます。

人の手を一切借りない完全自動運転に一挙に進むことは考えられません。したがって、当面は、人の手を借りなければ安全が確保できない『半自動運転』の時代が続くでしょう。

この時代には、人がシステムを過信することによる事故が頻発すると予想されます。そのような事故を減らすためには、運転者に対する教育も大事ですが、自動システムを過信しがちという人間の性(さが)に配慮した設計思想が求められていると考えます」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
小林 正啓(こばやし・まさひろ)弁護士
1992年弁護士登録。ヒューマノイドロボットの安全性の問題と、ネットワークロボットや防犯カメラ・監視カメラとプライバシー権との調整問題に取り組む。
事務所名:花水木法律事務所
事務所URL:http://www.hanamizukilaw.jp/

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