裁判官が「刑期」を間違えて「違法判決」 こんな凡ミスはよくあることなのか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年8月8日 18時54分

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「被告人を懲役1年に処する。ただし未決勾留日数中20日を算入する」。

これは、スーパーで566円相当のミカンなどを万引きしたとして、窃盗罪で起訴された被告人に対して、神戸地裁尼崎支部の裁判官が7月5日に言い渡した判決だ。

「未決勾留日数」とは、被告人が逮捕されて拘置所に勾留されていた期間のこと。裁判官は自らの裁量で、この期間(の一部)を「刑に服した」ものとみなして、刑期から差し引くことができる。これは「未決勾留日数」の「算入」という制度で、刑法21条で決まっている。

しかし実は、この被告人は逮捕も勾留もされておらず、取り調べや起訴は在宅で行われていた。つまり、本来は差し引くことができる日数はゼロだったのだ。

この判決ミスの原因は裁判官の勘違いだという。ところが、その場では誰も誤りに気づかず見過ごされてしまったため、兵庫地検尼崎支部が7月18日、「判決は刑法21条に反する」として大阪高裁に控訴することになってしまった——と報じられている。

こんな裁判官の凡ミスはよくあることなのだろうか。また、このようなミスを防ぐ仕組みはないのだろうか。落合洋司弁護士に聞いた。

●裁判官が間違った判決を出してしまうことは、ときどきある

「裁判官も人間ですから誤りはありえます。裁判官が違法判決を出すケースは多くはありませんが、ときどき起きることがあります」。落合弁護士はこう語る。

自身も検事時代、「あわや」というケースに遭遇したことがあるという。「裁判官が、複数の被告人に対し、連続して判決を言い渡そうとした際、被告人を取り違えたのです」。その際は落合弁護士が即座に指摘、裁判官が慌てて言い直したため、違法判決は避けられたという。

裁判には、こうしたミスを防ぐ仕組みはないのだろうか。

「裁判所サイドとしては、まず書記官のチェックがあります」。落合弁護士はこう述べる。書記官というと法廷で記録を取る人——というイメージが強いかもしれないが、その裏では裁判官を補佐し、裁判を円滑に進めるため、幅広い役割を果たしているのだという。

●判決の言い渡しの途中であれば、間違いを訂正できる

また、刑事事件では、担当検察官もミスの低減に一役買っているようだ。

「最近起きた別の過誤判決では、裁判官が、本来付けられないはずの執行猶予を付けてしまった例がありました。こういったミスは、たとえば検察官が『論告の際に、実刑以外はあり得ないことを明確に指摘しておく』ことで、かなり避けられるものです。また、検察官は判決前に『算入可能な未決勾留日数』をメモ書きし、書記官に渡しておくこともあります」

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