無人島のシカに蹴られてケガ! なぜ福山市は「賠償金」を払ったのか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年8月14日 12時51分

写真

関連画像

無人島でシカに蹴られてケガをした男性に対して、広島県福山市が賠償金を支払ったというニュースが話題になった。一読して「なぜ?」という疑問が浮かぶこのニュース。いったいどういうことなのだろうか。

中国新聞によると、事故が起きたのは昨年8月のこと。福山市に属する瀬戸内海の無人島で、市内の男性がシカに蹴られて、ろっ骨を折った。福山市は、賠償金として約16万円を男性に支払ったことを、今年5月になって明らかにした。

シカは1980年代に、市が繁殖調査などを目的として数匹を放して以来、棲みついているという。いまでも月1回、市がエサをやっているというが……。はたして今回、自治体にはどんな責任があるとされ、どんな根拠で賠償金を支払うことになったのだろうか。中田憲悟弁護士に聞いてみた。

●市が「管理」するシカが人を蹴ったら、国家賠償法の問題となる

シカが人を蹴ったというこの事件、一体どんな法律が問題となってくるのだろうか?

「今回責任が問題となっているのは、福山市という地方公共団体ですね。この場合、国家賠償法1条にもとづく損害賠償責任が問題となります。国家賠償法1条とは、公務員が職務を行う際に故意または過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国または公共団体が、これを賠償する責に任ずる、という規定です。

動物であるシカが『管理』されていて、『管理』に従事する福山市の公務員に『過失』、つまり『注意義務違反』があるとされれば、福山市が賠償責任を負うことになります」

なるほど、たとえシカのしたことでも、市の職員がシカを「管理」をしているならば、市の責任を問えるわけだ。では、この事件のシカは「管理」されていたのか?

「シカも、人間が接近してくれば蹴ったり咬んだりして、危害を及ぼす危険のある動物といえます。そして、本件の場合は、福山市が繁殖調査などを目的として、シカを無人島に放し、エサをやっていたわけです。このような事情をみると、担当の職員はシカを『管理』する者といえそうです。さらに管理をする上で通常払うべき注意を果たしていなかったということが立証されれば、『過失』ありとして、福山市の賠償責任が認められることになる、そのような事態を懸念して、賠償金の支払いがなされたのだと思います」

●動物管理の「過失」の有無が争点となる

だが、もしこれが裁判に持ち込まれた場合はどうなるのだろう。問題になるのは『過失』、すなわち『注意義務違反』の有無だろう。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
日本最大級の弁護士/法律ポータルサイト。23万件の相談実績。無料法律相談・弁護士ランキング・口コミ弁護士検索でお悩み解決。他にも弁護士費用の見積比較・法律Q&Aなどの豊富なサービスとコンテンツで「インターネットを通じて法律をもっと身近に、もっと便利に。」

トピックスRSS

ランキング