「逮捕時の報道は匿名にすべき」 元新聞記者の弁護士が語る「実名報道の弊害」

弁護士ドットコムニュース / 2013年8月28日 12時20分

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逮捕時の「実名報道」で名誉を傷つけられた――そう主張する男性が新聞社を相手取って、裁判を起こした。日本では、犯罪に関する記事は「実名報道」が原則とされていて、逮捕段階で容疑者の名前が報じられることが多い。この裁判は、マスコミの「実名報道」の是非について、問題を投げかけるものといえる。

朝日、毎日、中日の新聞3社に損害賠償と謝罪広告を求める裁判を起こしたのは、神奈川県在住の元会社経営者の男性だ。2010年に偽造有印私文書行使の疑いで愛知県警に逮捕されたものの、容疑を否認し、結局、不起訴処分となった。しかし逮捕時に実名で報道されたため、「仕事上の人脈を失い、体調も崩した」と男性は主張している。

注目すべきは、男性が「無罪の可能性がある逮捕段階での実名報道は適切でない」と、現在の日本のマスコミの報道姿勢そのものを批判していることだ。たしかに、刑事訴訟における「無罪推定の原則」からすれば、匿名報道が望ましいともいえそうだ。一方で、匿名にしてしまうと警察や検察の捜査を正確に伝えられず、マスコミのチェック機能が弱まるのではないかという懸念も指摘されている。

はたして、犯罪に関する「実名報道」はどのように考えればよいのか。かつて読売新聞で記者をした経験をもつ永野貴行弁護士に尋ねた。

●「実名報道による被害を防ぐためには、実名報道を止めるしかない」

――今回のようなことは、なぜ起きるのか?

「犯罪報道において実名報道を続ける限り、今回のようなケースは必ず起こります。問題は逮捕時に限ったものではありません。起訴時であれ、判決時であれ同様です。起訴や判決も、ときには間違うからです。また、仮に間違いがないとしても、実名報道によって犯罪者の社会復帰が阻害される例が後を絶ちません」

――実名報道による弊害を防ぐためには、どうすればよいのか?

「実名報道による被害を防ぐためには、実名報道を止める以外にありません」

――では、実名報道を止めることは可能なのか?

「北欧には、実名報道を原則廃止にしている国もあります。しかし、日本ではまだまだ難しいのが現状です」

――それは、なぜか?

「捜査機関が人を逮捕するというのは、むき出しの権力が国民に行使される場面です。報道機関の中には、誰がいつ逮捕されたかを報道することで権力の行使をチェックできる、という意見が根強くあります。実名報道は憲法上、表現の自由として認められているという自負もあるようです。

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