炎上した「銀行カードローン」、銀行業界が死守する「年収の3分の1超」の貸し付け

弁護士ドットコムニュース / 2017年12月28日 9時55分

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年の背が押し迫る12月21日、日本銀行本店内の記者クラブ。新生銀行の工藤英之社長が臨時の記者会見を開き、「レイク」のブランドで提供する銀行カードローンの新規融資を2018年春に打ち切ることを発表した。

新生銀の個人向け無担保ローン残高(保証残高をのぞく)は2017年3月期で約4000億円超。同銀の資金利益の53%も占める稼ぎ頭で、その主力である「レイク」の新規融資をやめるというのは相当な決断だ。工藤社長は「世の中の銀行カードローンの議論を踏まえた対応だ」と説明した。

もともとレイクは2008年に新生銀が買収した消費者金融会社によって提供されていた。それを2011年に銀行本体に移し、貸金業法が適用されない銀行カードローンに衣替え。上地雄輔さんやAKB48のメンバーらを起用したテレビCMは、消費者金融なら規制される放送上限の2倍前後も流していた。傍から見れば、貸金業法の規制をすり抜ける事業移管にも映る。

工藤社長は否定したが、水面下で進む金融庁の検査や〈ご指導〉が背景にあるのではないか。銀行カードローンを見直す動きは2018年も続くのか。(朝日新聞経済部記者・藤田知也)

●銀行カードローンが「炎上」した舞台裏

2017年は銀行カードローンが「炎上」した1年だった。きっかけは前年の自己破産申立件数が13年ぶりに増加したことだが、そのこと自体は当初、全国紙もどこも取り上げなかった。しかし、背景に銀行カードローンの貸し過ぎがあるのではないか――。そんな疑念を抱き、数社の記者がしつこく問題を追及するうち、徐々に火の手が広がった。

そもそも個人向け無担保ローンは2000年代半ばまで消費者金融の牙城だった。多重債務者が激増して自殺者も続出したため、2006年の改正貸金業法で、借りられる総額は年収の3分の1以下とする総量規制などが導入された。

だが、銀行は規制の対象外。貸せるお金には上限がなく、収入証明を確認する義務もない。テレビCMは流し放題で、広告の事前審査もない。そうした「ゆるい規制」を武器に、消費者金融の貸出額が激減するのを横目に、銀行業界はカードローン残高を猛烈な勢いで伸ばし、2017年3月末時点で5.6兆円と4年前の1.6倍にもなった。

利用者の意識調査なども義務づけられる消費者金融とは違い、銀行カードローンは派手な宣伝が目につくだけで利用実態は見えにくい。

手探りで弁護士、自己破産者、現場の銀行マンらをつかまえ、国内120行の銀行へのアンケート調査にも挑んだ。書いた記事はとりわけネット上での閲読率が高く、読者からの情報提供も数多く寄せられた。そうした情報や追加取材をもとに新聞や雑誌で書きまくるうちに、新聞各紙でも大きく取り上げられる問題に発展し、9月には自著「強欲の銀行カードローン」(角川新書)を出版するまでに至った。

●CMは打ち切り、改善策も矢継ぎ早に打ち出したが

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