「一票の格差」で選挙無効を求める訴訟は、なぜ「選挙前」に起こせないのか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年9月1日 13時15分

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第23回参議院選挙の翌日にあたる7月22日、弁護士グループが「一票の格差が是正されないまま選挙が実施されたのは憲法違反だ」として、選挙の無効を求め、全国の高等裁判所とその支部に一斉に提訴した。

選挙区ごとの「一票の格差」が最大5.00倍だった前回の参議院選挙について、最高裁が「著しく不平等な違憲状態」と指摘したのを受けて、今回の選挙前に定数是正が行われた。しかし、まだ最大4.77倍の「一票の格差」が残っていた。

昨年12月実施の衆議院選挙についても、同様の訴訟が起こされたが、各地の高裁で違憲判決があいつぎ、一部の選挙区ではついに「選挙無効」判決まで出た。今回も違憲判決が出る可能性は大きいと見られ、司法がどのような判断を下すのか注目が集まっている。

それにしても疑問なのは、このような「一票の格差」訴訟が提起されるのが、なぜいつも「選挙後」なのか、ということだ。「選挙前」に提訴して、裁判所の判断が示されれば、正しい状態で選挙が実施されると思うのだが……。なぜ「選挙前」に争うことができないのか。黒田健二弁護士に聞いた。

●法律には「当該選挙の日から」と書かれている

「簡単に言えば、『選挙前』に提起できると法律に規定されていないからです」

黒田弁護士はこう述べる。それでは、そもそも一票の格差訴訟は、どんな法律のどんな条文に基づいて争われているのだろうか。

「選挙無効訴訟が根拠としている規定は、公職選挙法204条です。そこには、こう書かれています。

『衆議院議員または参議院議員の選挙において、その選挙の効力に関し異議がある選挙人(中略)は、(中略)当該選挙の日から30日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる』

法律上、期間を計算にするとき、初日(すなわち、『当該選挙の日』)は算入されませんので、上記規定は、選挙の翌日、つまり『選挙後』から訴訟提起できると定めていることになります」

確かに、ここまで明確に決まっていれば、この条文に基づいて事前に訴えるというのは難しいだろう。ただ、公職選挙法がそうなっているとしても、何か他の手段はないのだろうか。

黒田弁護士は首を振る。「選挙の効力を争う方法を定める法律は他にありませんので、選挙の違憲・無効を求める訴訟を『選挙前』に起こせる根拠がない、ということになります」

それでも、一票の格差は、事前にほぼ正確に割り出せるはずだ。選挙が終わってから「無効」というより、「事前に何とかする」方が合理的なのでは?

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