「一票の格差」で選挙無効を求める訴訟は、なぜ「選挙前」に起こせないのか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年9月1日 13時15分

「実はそういうアプローチの訴訟は、すでに起こされたことがあります。『選挙前』に、一票の格差が著しく違憲であることを理由として、選挙に関する内閣による助言と承認等の差止め及び内閣による法案提出の義務付けを求める訴えが、選挙に関する民衆訴訟(行政事件訴訟法5条)として東京地裁に提起されました」

つまりは「選挙を行う前に、格差を是正する法案を出せ」という話のようだ。その訴訟はどうなったのだろうか。

「一審の東京地裁は訴えを『不適法である』として却下しました。東京高裁も最高裁もこの一審判決を支持し、一審判決は確定しています」

どういう理由で却下されてしまったのだろうか。

「民衆訴訟はそもそも、『法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる』とされています(行政事件訴訟法42条)。

しかし、選挙無効の訴訟では、先ほど述べた公職選挙法204条を使うしかないというのが現状です。ところが公職選挙法204条は、事前に訴えることができるようには定められていません。訴えが認められなかったのはそういう理由です」

要は、訴えるための法律がなかったということだ。なんとももどかしい話だが、選挙の問題点が事前に分かっていたとしても、裁判で争うためには、選挙が終わるのを待たなければならないようだ。選挙の実施コストを考えると、何らかの形で事前に訴える手段が存在した方がいいのではないかと思うが……。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
黒田 健二(くろだ・けんじ)弁護士
弁護士・ニューヨーク州弁護士・弁理士。日本経済新聞「活躍した弁護士ランキング」2012年の外国法部門2位および知的財産部門5位に選出。著書に「人治国家中国のリアル」(幻冬舎メディアコンサルティング)等。
事務所名:黒田法律事務所
事務所URL:http://www.kuroda-law.gr.jp/

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