「夫に24時間監視されています」GPSをつけられた妻、目的次第ではOKの場合も
弁護士ドットコムニュース / 2018年5月3日 9時47分

関連画像
夫にGPSをつけられているが、どうしたらいいのか。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような質問が寄せられた。相談者の夫は、GPSで常に相談者を監視しており、「精神的にまいっています」という。
夫婦であっても、GPSで相手を監視することは法的な問題がないのか。離婚に向け、不貞行為の証拠集めなど、正当な目的があれば法的にも問題ないのだろうか。五十嵐里絵弁護士に聞いた。
●不貞の証拠集めでは「違法」と判断されない夫婦間でもGPSを設置することは認められるのだろうか。
「ケースバイケースです。たとえば、不貞の証拠を収集するために、夫や妻にGPSをつけたり、探偵に尾行させたりすることはよくあります。
GPSの設置や尾行などにより人の行動を調査することは、厳密に言えばプライバシー侵害になるとの議論もあります。また、調査の方法や程度によっては、はっきりとプライバシー侵害になることもあると思います。
ただ現実問題として、裁判の証拠収集のためにGPSを設置したとして、慰謝料の支払いを求められることはまずないと言っていいでしょう。私が見てきた事件では、GPSの設置や探偵の尾行などの違法性が問題とされた例はありません」
●慰謝料、離婚原因となることも今回の相談者のケースではどうだろうか。
「相談者のケースは、不貞の証拠収集などの特定の目的がなく、ただ『妻の行動を把握していたい』という動機で長期間にわたってGPSで妻を監視するものと考えられます。
この目的では、たとえ夫婦であってもプライバシー侵害になりうると思います。ただ、さすがに高額の慰謝料は認められない可能性は高いです。
また、長時間の監視が常態化しているような関係だとすると、もはや夫婦としての信頼関係が失われていて、夫婦関係が破綻しているとも言えます。離婚裁判になった場合には、『その他婚姻を継続し難い重大な事由がある』(民法770条1項5号)として、離婚が認められる可能性も高いでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
五十嵐 里絵(いがらし・りえ)弁護士
新聞社に記者として勤務した後、法科大学院に進学、弁護士に。離婚・男女問題、遺産相続、企業法務を取り扱う。
事務所名:辻山・五十嵐法律事務所
事務所URL:http://www.tyig-law.jp/aboutus.html
この記事に関連するニュース
-
離婚問題に介入してくる「妻の両親」にもう限界 法的な対応はできる?
弁護士ドットコムニュース / 2021年2月22日 10時4分
-
セックスレスで風俗へ行った40代男性の後悔…妻からは離婚を宣告され「性欲に勝てなかった」と涙
弁護士ドットコムニュース / 2021年2月21日 10時14分
-
不倫相手は「マスク着用」で顔見えず…コロナの新しい生活様式で「不倫調査」に激震
弁護士ドットコムニュース / 2021年2月12日 10時40分
-
合鍵で侵入する義母、自由を奪われた妻たちの嘆き「夫の浮気の証拠を隠された」「勝手に掃除や家事」
弁護士ドットコムニュース / 2021年2月10日 9時51分
-
不倫相手が「慰謝料」負担しても知らん顔できる? 互いに「金銭要求」しない合意書の効力
弁護士ドットコムニュース / 2021年2月7日 9時53分
ランキング
-
1もたつく小池氏に想定外の事態…首相は土壇場でシナリオ書き換え
読売新聞 / 2021年3月6日 8時6分
-
2嘱託殺人未遂容疑で46歳逮捕 SNSで「自殺願望」の19歳に
毎日新聞 / 2021年3月6日 12時3分
-
3警察署長が勤務中にスノボ 秋田県警、同僚女性署員と
共同通信 / 2021年3月6日 14時30分
-
4初の入管クラスター 収容者58人感染、施設内の閉ざされた実態
毎日新聞 / 2021年3月6日 9時0分
-
5勤務時間帯に学長室でウイスキーを…旭川医科大・吉田学長の“酒好き”と“自慢話”
文春オンライン / 2021年3月6日 6時0分