灼熱地獄の車内に子ども放置…救出のため、店がハンマーで窓ガラス割ってもOK?

弁護士ドットコムニュース / 2018年8月4日 9時57分

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駐車場で車内に子どもを放置して、買い物やパチンコなどをする保護者が後を絶たず、毎年夏になると、熱中症で子どもが死亡するという悲劇が繰り返されている。

そこで、全国でパチンコ店を営業するマルハンでは、車内に子どもを置き去りにしないよう、ポスターで呼びかけているほか、見回りを強めているという。ポスターには、「絶対にヤメて 子供の車内放置」「クーラーが効いていない夏の車内は15分で50℃に達します」「お子様の車内放置を発見した場合は救出の為、車の窓ガラスを割る場合があります」などと書かれている。朝日新聞などの報道によると、見回りの従業員は緊急事態に備えて、窓ガラスを割るためのハンマーを持ち歩いているという。

通常であれば、他人の自動車の窓ガラスを割る行為は、器物損壊罪に問われるが、子どもの命を救う為には許されるのだろうか。刑事事件に詳しい星野学弁護士に聞いた。

●車内放置は「保護責任者遺棄致死傷罪」、救出は「正当防衛」と評価される可能性

子どもの命を救うためであれば、窓ガラスを割っても大丈夫?

「子どもを救出するためとはいえ、車の窓ガラスを割る行為は理屈の上で『器物損壊罪』にあたります。ただし、当該行為が『正当防衛』として犯罪ではないと評価される可能性があります。

暑い夏の車内に子どもを放置すれば、子どもの生命・健康に被害を与えることは誰でも分かることなので、放置行為は犯罪行為(保護責任者遺棄致死傷罪、重過失致死傷罪)といえます。このような犯罪行為に対して、子どもの生命・健康に危険が迫っているという状況下で窓ガラスを割って子どもを救出する行為は正当防衛と評価され処罰されないでしょう」

もしも、窓ガラスを割った際に子どもがケガをしてしまったら?

「窓ガラスを割る際は割れたガラスで子どもがケガをしないように注意することが必要です。当然ですが、放置された子どもは犯罪行為をしていません。先ほどの正当防衛は犯罪行為に対するものなので、子どもにケガをさせた場合、その行為には正当防衛は成立せず『緊急避難』が成立するかどうかが問題となります。

そして、子どもの生命を守るためにやむを得ずケガをさせてしまった、子どもを救出するためにはケガをさせるしかなかった、という状況下に限って『緊急避難』と評価され、処罰されないことになります。

したがって、助けるためにはガラスを割ってケガをさせるしか『他にとるべき手段がなかった』という条件が、『緊急避難』が成立するために必要となります。単に子どもの生命・健康に危険が迫っている状況に『他にとるべき手段がなかった』という条件が加わっている分、『緊急避難』の方が『正当防衛』よりもハードルが高いことになります。

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