月400時間労働の「鉄人」が崇められる裁量労働制の企業に是正勧告 「やりがい搾取」の果てに

弁護士ドットコムニュース / 2018年9月18日 18時40分

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裁量労働制ユニオン(総合サポートユニオン裁量労働制支部)は9月18日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで記者会見を開き、専門業務型裁量労働制を導入している建築設計事務所(本社:東京都千代田区)に是正勧告が出されたことを報告した。

ユニオンによると、この事務所は、労使協定の労働者代表を適切に選出していなかったとして、専門業務型裁量労働制の適用自体が無効となった。このため、1日8時間を超える時間外労働が労働基準法32条に違反するとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けた。同様に、1日8時間のみなし労働時間を超えた残業代の未払いについても労働基準法37条違反による是正勧告を受けた。

記者会見には、ユニオンのメンバーとともに、この事務所で働く女性Aさんが出席。現在、長時間労働の改善や未払い残業代を求めて会社と団体交渉中であることを報告し、「裁量労働制を適用した働かせ放題、自由な働き方とは正反対の働き方でした」と過酷な現状の改善を訴えた。

建築設計事務所は全従業員に対して残業代の支払いに応じる姿勢だという。

●「過労死ライン」をはるかに超える過酷な労働

Aさんは新卒採用で2015年4月に入社。契約社員だった入社1年目から裁量労働制が適用されていた。朝9時まで徹夜し、昼に出勤することが日常茶飯事。1日20時間以上働くのは当たり前で、最大33時間働き続けた。月の最大残業時間は185時間、「過労死ライン」とされる80時間の倍以上にもなる。

「18時30分に帰宅できたことはまったくありません。社内では長時間労働が蔓延していました。

先輩たちの『だれしもが経験すること、そうやって大きくなれる』『ほかの会社に行っても同じ』という言葉を信じていました。過去には(月に)400時間の労働をした先輩もいて、その先輩は鉄人と崇められていました。夢だった建築の仕事をしている、楽な仕事なんてないと自分に言い聞かせてきました」

家族や友人に心配をかけないように、だれにも相談しなかった。ところが、過酷な労働で心身ともに追い詰められたAさんは適応障害と診断された。

「このまま踏切の間で止まってしまえば楽になれるだろうなとか。会社で死ねば、すこしはこの会社も労働環境を見直してくれるかなと考えるようになりました。長時間労働に加えてセクハラ・パワハラも横行していたので、心身ともに限界を迎えてしまったんです」

Aさんは初めて精神科を受診したが、「即入院した方がよい」と医師に言われて驚いた。

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