Tカード情報の警察提供…EU市民は苦情可能だけど、日本人は無理という「謎の格差」

弁護士ドットコムニュース / 2019年3月17日 9時24分

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ポイントカード最大手・カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、運営する「Tカード」の会員情報を裁判所の令状なしに捜査当局へ提供していた問題。他のポイント事業者も同様に「捜査関係事項照会書」だけで利用者の情報を提供していたことが報道されるなど、問題は拡大した。そうした中、警察の捜査に監視の目が行き届かず、提供された個人情報がどのように扱われているのかわからないといった懸念も指摘されている。

もし、自分の個人情報がCCCのような企業から警察に提供された場合、誰に、どのように苦情申し立てをすることが可能なのだろうか。 実は、EU市民に限っては、個人情報保護委員会を通じて、ワンストップで日本の都道府県警察等へ苦情申し立てができる制度がある。

しかし、日本国民にはこのような申し立ての制度は整備されていない。都道府県警察や、都道府県警察を監視する立場である都道府県公安委員会への苦情申し立て制度はあるものの、一般の市民が個人情報の取扱いに関して、これらの苦情窓口を利用するということに思い至るのは難しいだろう。他方、EU市民は、個人情報保護委員会にさえ苦情申し立てすれば自動的に都道府県警察等への苦情申し立てができる。

なぜ、EU市民と日本国民の間で、このような「差別」が生まれてしまったのだろうか。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●個人情報保護委員会は英語版のみで制度を説明

EUは、国際的に見ても高い水準の個人情報保護に関係する法律を定めている。その上で、グローバルな経済活動などを円滑に行うため、EUと実質的に同等の保護水準を保っているといえる国・地域に対しては、パーソナルデータの域外移転を認める制度を設けている。欧州一般データ保護規則(GDPR)に基づく「十分性認定」と呼ばれるもので、日本は2019年1月に認定を受けた。

しかし、認定は出したものの、欧州データ保護会議(EDPB、EU各国のデータ保護機関の合議体であり、欧州連合の機関の一つ)は、日本に対していくつもの懸念を示してきた。その一つが、警察など公的機関による個人データへのアクセスの適正性だ。捜査押収、通信傍受、捜査関係事項照会などにおける対象者の情報の取扱いについて、令状発行の基準や人権への影響をできるだけ抑制する体制や制度が確認できないとしている。

そこで、日本ではEUから移転した個人データに限って(ただし、根拠は十分性認定に限定されないようである)、個人情報保護委員会が窓口となり、都道府県警察などに対して苦情を申し立て、適正な取扱いを求めることのできる制度がつくられた。ところが、こうした制度があることを説明した個人情報保護委員会の日本語ページは存在せず、英語版で説明されているのみで、EU市民と日本国民との「格差」が生じている。

●「EUでは、データ保護機関が監督し、市民からの苦情申出についても対応」

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