コインハイブ事件、経緯総まとめ 「ウイルス罪」相次ぐ摘発に萎縮も

弁護士ドットコムニュース / 2019年3月26日 9時28分

加えて、検察側が「PCが遅くなるなど一方的に負担を強いられた」としている点については、「動作が遅くなることは広告でもある」とも指摘。「これを持って規制してしまうと、どのようなPCであってもあらゆるウェブサイトを問題なく見られるようにしなければならなくなる」と話している。

一方、中央大学法学部の四方光教授(刑事法学)は「自分のパソコンが知らないうちに他人に使われていることは、社会的に認められていない」とし、コインハイブは不正指令電磁的記録にあたると考える。「社会通念上、皆がそのプログラムの作動を許容しているか」が判断の分かれ目だといい、「こうした定義は時代によって変わり得る」と話す。

「新しい技術が世間一般に許容されるかどうか、技術者と国民の認識にズレがある場合もあり、国民が勉強しなければいけないところもある。新技術の取り締まりを行政法でおこなうという議論はあるが、悪質性が高く切迫性がある場合に、どう対処するのか懸念が残る」(四方教授)

●弁護側が主張する「ずさんな捜査」

この公判で争点以外に弁護側が主張していることがある。それは捜査のずさんさだ。

男性は被告人質問で、家宅捜索について証言。2018年2月に警察からの電話で「とある事件の捜査に協力してほしい」と言われ、男性が被疑者とは告げられないまま自宅に移動したという。

自宅到着後も令状を吟味する時間はなく、捜査官も「コインハイブについて調べている」と言わなかったため、男性は当初「クリプトジャッキング」など他人の犯罪に巻き込まれていると考えていたそうだ。

9時間に及んだ警察での取り調べでも、コインハイブの何が違法にあたるのかは詳しく説明されなかったという。男性が話す技術的な内容について「理解している人がおらず、伝わっていない感じがした」と振り返り、捜査官からは「反省してんのか」と怒鳴られ「裁判所で令状が出ている以上、犯罪なんだから」と言われたと証言している。

加えて、弁護人は証拠のずさんさも指摘。検察側が提出した証拠書類は、技術に関する初歩的な誤解や誤記があったため何度も訂正を行い、英語で書かれたコインハイブ公式ブログのページはGoogle翻訳したものが出されたという。

平野弁護士は「人の有罪、無罪を裁く場の証拠として機械翻訳とは信じがたいこと」と批判している。

●なぜコインハイブが捜査対象に

日本では2〜3年ほど前から、不正アクセスによりウェブサイトが改ざんされて勝手にマイニングされる「クリプトジャッキング」の事例があった。しかし、今回の男性の事例は、他人のウェブページを改ざんした訳ではなく、自身のサイトに設置したものだ。

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