食品ロス削減の「憲法」成立、消費者の意識は変われるか 小林富雄教授に聞く

弁護士ドットコムニュース / 2019年6月13日 9時58分

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食品ロスの削減の推進に関する法律(以下、新法)が5月24日、参院本会議で全会一致で可決され成立、同31日に公布された。まだ食べられるのに捨てる「食品ロス」を減らすための法律で何が変わり、我々の生活にどのような影響を与えるのか。

食品ロスの問題に詳しい愛知工業大学経営学部・小林富雄教授の話を交えレポートする(ジャーナリスト・松田隆)。

●食品ロス削減の憲法、「食品ロスはゴミ問題ではない」

2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で、食品ロスの削減が目標として設定された。地球上では爆発的に人口が増え、必要とされる食糧が増加する一方で食品ロスも増えている現実は、食料供給のサイクルが構造的な欠陥を抱えていることを示す。

わが国も例外ではなく、食品ロスは年間約643万トン(2016年度推計、農林水産省・環境省)に達し、国民1人あたり年間約50kgが廃棄されている計算。

新法は国や地方公共団体、事業者が取り組むべき責務、消費者の役割を定め(3条~6条)、食品廃棄物の発生の抑制等に関する施策を実施する場合には、法の趣旨、内容を踏まえて食品ロスの削減を適切に推進すべきこと(8条)と定めている。

政府は食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針を定めなければならず(11条)、都道府県も食品ロスの削減の推進に関する計画を定めなければならない(12条)。

さらに内閣府に食品ロス削減推進会議を設置し(20条1項柱書き)、基本方針の案を作成(同2項1号)、重要事項の審議(同2号)を行うこととされ、同会議が一連の政策の中枢となることが決められた。

新法を概観すると食品ロス削減に向け大きな方向性を示し、行政が目標に向かって動き出すことが法定されている。2000年に食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)が成立した。

しかし、小林富雄教授は次のように説明する。

「リサイクルばかり進んで食品ロスの発生抑制が後手に回っていました。リサイクル法は製造業から卸、小売、外食までが対象です。食品の根っこの生産者である農業関係者と最終消費者が抜けていました。食品ロス削減を国民運動とするなら、農業と最終消費者を明確に対象に含めないといけません。

その意味で、新法は食品リサイクル法を包括し、同時に食品ロス削減の理念を定めた憲法のようなものと言っていいかもしれません」(以下、コメントは全て同教授)。

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