平均的な月経血量ってどのくらい?医師が「生理」のあれこれを解決!
美人百花デジタル / 2021年5月21日 20時15分
![平均的な月経血量ってどのくらい?医師が「生理」のあれこれを解決!](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/bijinhyakka/bijinhyakka_1005332_0-small.jpg)
月に1度やってくる生理。月によって量が違っていたりして不安になることがありますよね。
生理についての正しい知識を身につけるべく、医療法人正育会「春木レディースクリニック」副医長の藤川恵理先生に話を伺いました。
平均的な生理の出血量ってどのくらい?
まず、一般的に正常な月経血量は20-140ml、平均50-60mlで、80ml以上の月経出血があると半分以上の女性が貧血になるといわれます。月経量が140mlを超えた場合を過多月経、月経量が20ml以下の場合を過少月経といいますが、出血量を正確に把握することはなかなか難しく、多くは「血の塊が出る」「ナプキンを夜に頻回に交換する」というように表現されますが、どの程度までが正常とは一概には言えず、はっきりした指標もありません。ですが、「月経量が多いかな?」と思われる方で、検診や人間ドッグで常に貧血を常に指摘される場合では、過多月経の可能性が高いと思われます。
原因として、子宮筋腫、粘膜下筋腫や内膜ポリープといった子宮自体に原因がある場合や、出血しやすい素因がある場合などがあげられます。また、月経量が少ない方で、特に不妊に悩んでいる女性の場合は、きちんと不妊専門のクリニックで検査を受けられることをおすすめします。
原因としては、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に代表される排卵障害によるもの、卵巣予備能力の低下(卵子数の減少)やホルモンの分泌不全などが考えられます。また、まれですが性感染症や流産手術によって子宮内に癒着が起こっている可能性もあります。これらは問診と諸検査(血液検査、超音波検査、子宮鏡検査)でいずれも診断可能です。
月経血量が月ごとに違う原因とは?
そもそも月経とは、女性ホルモンが上昇することにより子宮内膜が増殖して徐々に肥厚し、排卵後に生じる黄体ホルモンの影響でさらに厚くなるものの、その周期で妊娠が成立しなかった場合には、排卵後の黄体から分泌されていた女性ホルモンと黄体ホルモンが黄体の退縮とともに低下することによって厚くなった子宮内膜が剥がれる現象です。内膜の厚さと生理の量には関係があり、内膜の厚さはその月ごとの排卵状況や投薬の有無で大きく異なります。
例えば、ストレスや体調不良によって、卵胞の発育が悪かったり、排卵が無かったりした場合にはいつもと違う生理になるでしょう。また、排卵誘発剤のクロミッドを服用している場合や、低用量ピルを服用している場合には内膜が厚くなりにくく、生理の量は少なくなる傾向にあります。ただし、ホルモンの分泌量は周期ごとに一定ではないため、生理の量に多少の差があっても異常ではありません。
ただし、月経周期が不規則で生理の量もまちまちの場合や、多くの月で月経量が異常に少ない場合や異常に多い場合(特に貧血がある場合)には、排卵障害や黄体機能不全、子宮筋腫などの異常があるかもしれず、早めに婦人科を受診されることをお勧めします。
婦人科を受診した方がいい月経血量はどのくらい?
多くの月で生理の量が多い、あるいは少ないと感じておられる方で、(1)生理不順がある、(2)貧血がある、(3)なかなか妊娠しない、という方は必ず婦人科の受診をおすすめします。
しかし、月経異常と診断するための月経量の定義は一応ありますが、月経量の把握は難しいためそれほど厳密なものではなくて結構です。生理の量が心配で受診された場合、婦人科医も問診である程度疑われる婦人科疾患を推察し、その後諸検査(ホルモン検査、超音波検査、子宮鏡)で診断を行います。
実際に、閉経前女性の3割前後が過多月経であるという報告や、生殖年齢女性の5%程度の婦人科受診理由が過多月経であったという報告もありますが、月経異常を主訴として受診した結果、思わぬ婦人科または全身疾患が発見されることもあり、治療によって生活の質(QOL)の向上や早期の妊娠につながるかもしれません。少しでも「生理の量がおかしいかも」と感じたら、まずは気軽に婦人科を受診して相談してもらえたらいいと思います。
最後に、月経以外の出血、いわゆる不正性器出血がある場合には注意が必要です。多くは、排卵期の生理的な出血やホルモンの一時的な分泌異常などが原因ですが、まれに子宮がんなどの悪性疾患が原因になっている事もありますので必ず婦人科へ行きましょう。
教えてくれたのは
医療法人正育会「春木レディースクリニック」副医長 藤川恵理先生
周産期、腫瘍、生殖やヘルスケアなど幅広く女性の一生に深く関わることのできる産婦人科に学生時代から憧れ、卒業後は、周産期センターや婦人科専門病院で研修を積む。その中で、女性のライフスタイルの変化とともに生殖医療の需要がますます大きくなっていると感じ、この春から春木レディースクリニックで不妊治療に携わるようになった。
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