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子宮内膜症ってどんな病気?女性の体の悩みを医師に聞いてみました!

美人百花デジタル / 2021年7月20日 20時0分

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女性特有の病気はいろいろありますが、今回はそのうちのひとつ“子宮内膜症”について、「針間産婦人科」院長の金子法子先生に話を聞きました。

 

子宮内膜症の症状を教えてください

子宮の内側は、子宮内膜という組織で覆われています。子宮内膜は女性ホルモン(エストロゲン)の影響により、妊娠が成立しなければ、毎月厚くなった内膜が剥離し、月経として出血します。

この子宮内膜に似た組織が何らかの原因で、子宮以外の部位(卵巣、卵管、腹膜、腸など)に発生し、これらの場所にできた組織が毎月月経のように出血を繰り返す病気が子宮内膜症です。通常の月経であれば、膣を通って剥離したものが出て終わりますが、子宮以外の場所ではそれができません。

その結果、子宮とその周辺臓器、組織が癒着し、様々な症状を引き起こすものが、子宮内膜症です。特に卵巣内部に子宮内膜症が発生して、袋(嚢胞)ができて、その中に血液が溜まるものを、チョコレート嚢胞といいます(古い血液はチョコレート色をしていることから、その名前がついています)。また、子宮の筋肉の中に子宮内膜症と同様な病変があるものは、子宮腺筋症といいます。子宮腺筋症は女性ホルモンの影響を受けて増殖するため、子宮筋層が厚くなり、子宮が丸く大きく膨らみます。

主な症状としては、生理痛(月経時の下腹痛)が代表的で、痛みのために日常生活に支障をきたす(仕事や学校に行くのもつらいなど)場合があります。また性交時のつきあげるような痛み、排便時の疼痛、月経時以外の下腹部痛や腰痛が見られることもあります。子宮内膜症の30~50%の方が不妊症となり、不妊の訴えから受診し、子宮内膜症が見つかることも少なくありません。

子宮内膜症の原因と治療法を教えてください

原因は先述しましたように、子宮内膜と同じような組織が、別の場所に増殖してしまうことで、エストロゲンが関与しています。昔の女性は妊娠、出産、授乳を多く経験し、その前後に月経が止まる期間が長くありました。そのため、生涯の月経回数の平均は、約50回と言われていました。

一方で、現代の女性は昔の女性に比べ、初潮も早く、独身女性も多く、晩婚化の傾向にあり、出産回数も減っています。そのため、現代の女性は昔の女性に比べて一生涯に経験する月経回数が増えて、その回数は450回くらいと言われています。子宮内膜症など、月経に伴うトラブルが増えた要因に、このような現代女性のライフサイクルが変化してきたことが関連していると考えられます。治療は大きく分けて、薬物療法と手術療法があります。

(1) 鎮痛剤

痛みの原因であるプロスタグランジンという子宮収縮作用のあるホルモンの産生を抑えて、月経痛を改善します。あくまでも痛みを軽減させるだけで、根本的な治療にはなりません。

(2)LEP製剤

低用量の卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の配合薬です。これを継続して飲むことで、排卵を抑えて子宮内膜が厚くならないようにして、プロスタグランジンの産生を抑えて月経痛を軽減します。

(3) 黄体ホルモン製剤

黄体ホルモンが子宮内膜の増殖を抑えて、常に子宮内膜が薄い状態にします。

(4) 子宮内黄体ホルモン放出システム

黄体ホルモンを子宮の中に放出する子宮内システムを装着することで子宮内膜の増殖を抑えて、月経痛および月経量を軽減します。手術療法には子宮内膜症組織を取り除くために、腹腔鏡下手術や開腹手術が行われます。再発を防ぐためにそのあと、薬物療法をすることもあります。

子宮内膜症を防ぐためのアドバイスをください

まずは「生理痛は我慢するもの、誰でもあるもの」という先入観を捨てましょう! 生理痛は子宮内膜症など病気が原因でなく、子宮収縮そのものの痛みによるものを「機能性月経困難症」、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫など病気が原因であるものを「器質性月経困難症」と言いますが、機能性月経困難症だとしても、月経痛がひどい女性の方が、将来的に、子宮内膜症になりやすいこともわかってきました。

排卵と子宮内膜の増殖、そして厚くなった子宮内膜(受精卵にとってはお布団ですね)をフカフカにすることは妊娠するためには必要なことですが、まだ妊娠を希望しない方にとっては、毎月排卵があり、妊娠が成立せず月経として子宮内膜が剥がれることは、卵巣にとってはとてもストレスです。ピル(保険適応の場合LEP製剤で、仕組みは同じです)を上手に服用することで、そのストレスから解放され、妊娠したいときに服用をやめることで、子宮内膜症など器質的な病気になりにくい効果が期待できます。

また服用によって、予期せぬ妊娠も防げますし、月経が来る日がわかるので、スケジュールも立てやすくなります。生理痛から解放されると、月経に惑わされることなく、毎日が快適に過ごせられます。

月経中は生理痛が、月経前2週間はPMS(月経前の心身の不調)があり、本当に快適に過ごせるのが、月のうちたった一週間なんてもったいないですよね。心も身体も健康で快適に過ごせることが、美人になる第一歩です! かかりつけの産婦人科医を見つけて、日ごろから相談、検診をしてみてください。

教えてくれたのは

「針間産婦人科」院長 金子法子先生

川崎医科大学卒業後、同年山口大学医学部産婦人科学教室入局。国立下関病院(現国立病院機構関門医療センター)、山陽中央総合病院、山陽小野田市民病院勤務。2001年に「針間産婦人科」院長に。2017年には山口県医師会功労賞受賞。

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