涼しくなったのに体が重い?注意したい残暑バテ・秋バテについて専門家に伺いました
美人百花デジタル / 2021年9月12日 20時45分
猛暑の夏が終わり、過ごしやすい気温の日も増えてきました。しかし、夏の暑さのせいで残暑バテ・秋バテの症状が出てしまう場合も。今回は鍼灸・接骨・漢方の犬山堂代表兼院長・三輪考司先生に残暑バテ・秋バテの改善方法などを伺いました!
残暑バテ・秋バテの主な症状を教えてください。
カラダがだるい、胃腸症状(食欲がない、便秘や下痢)、疲れを感じる(疲れやすい・疲れがとれない)という3症状がもっとも多く認められ、その他に、寝つけない・眠れない、カラダが熱っぽい、頭痛がする、めまいや立ちくらみがする、カラダがむくむ、イライラするなどが挙げられます。
残暑バテ・秋バテ対策として効果的なものを教えてください。
残暑バテ・秋バテの大きな原因は、自律神経の乱れです。自律神経の乱れに対処するもっとも大切なことは、規則正しい生活をするということです。
自律神経の乱れる原因として……
(1)現代における大きな原因のひとつとして、室内と室外の温度(気温)の差による自律神経の乱れが挙げられます。自律神経は、温度(気温)の差を5度まででなら、体調を調整することができます。それを超える温度(気温)の差があると体調を崩す原因となります。なので、熱中症のことも考慮し、実際の室内の温度が28度くらいになるようにエアコンなど空調の温度を調整する(エアコンなどの空腸の設定温度の目安としては26度くらい)とよいでしょう。職場などで温度を調整しにくいときには、寒いと感じる時は、靴下を2枚履きにする、カーディガンなどの羽織るものを用意するなどされるとよいでしょう。暑い方は、おひとり様用の扇風機を用意するなどの対策を行ってください。
(2)熱帯夜などで眠れないことによる睡眠不足も自律神経が乱れることになります。エアコンなど空調を適切な温度に設定し、冷感シーツやシートなどを上手に利用し、眠りを深くし、その日の疲れは、その日に解消するようにしましょう。
(3)自律神経が乱れることによって、もっとも多くの影響を受け、弱るのは、消化器(胃腸)です。「残暑バテ・秋バテ=胃腸が弱っている」といってもよいくらいです。なので、胃腸をいたわることがとっても大切です。胃腸が弱っているのに、暑いからといって冷たい飲みものや食べものを摂取しすぎると、胃腸を冷やし、さらに弱らせることにつながります。ムリにすることはないですが、あたたかいものや常温のもの、消化のよいものを心がけて摂取されるとよいでしょう。
(4)発汗がうまく調整できないことによって、体温調整が上手にできなくなり、自律神経が乱れることもあります。熱中症にならない程度に、適度な運動をすることで、発汗をうまく調整できるようになり、体温調整の自律神経機能が上手に働くようになります。たとえば、早朝の軽く汗をかく程度のウォーキングなどはいかがでしょうか?
残暑バテ・秋バテになってしまった場合の乗り越え方を教えてください。
実際に、残暑バテ・秋バテになってしまったときは、以下のような対処法がオススメです。
(1)食生活の改善
先述したように、「残暑バテ・秋バテ=胃腸が弱っている」といってもよいくらいですので、胃腸をいたわることがとっても大切です。オススメは、残暑バテ・秋バテの胃腸に効果的とされるクエン酸などを多く含む梅粥です。
(2)ツボを刺激し、自律神経の乱れを回復
カラダがだるい、疲れを感じる(疲れやすい・疲れがとれない)という方には、湧泉(KL1)というツボがオススメですし、胃腸症状(食欲がない、便秘や下痢)があるという方には、足三里(ST36)などがオススメです。
ツボの押し方は、(1)ゆびで3~5秒ほど押します。(2)押しているゆびを離し、同じくらいの時間休みます。(3)3~5回ほど繰り返します。ポイントとしては、ツボを押す強さは、ハンコを押す程度で、イタ気持ちいいくらいです。
くれぐれも、押しすぎには注意しましょう。残暑バテ・秋バテの症状がキツい方は、セルフケアとしてのツボ押しではなく、治療をする必要があるときがありますので、お近くの鍼灸院等を受診されることをオススメします。
(3)漢方で、残暑バテ・秋バテを回復する。
現代(西洋)医学には、残暑バテ/秋バテに直接対応できるようなおクスリはありませんが、東洋医学(漢方)には存在します。昔から残暑バテ・秋バテには漢方がよく使われています。残暑バテ・秋バテ用の漢方には、健康保険適応外のものが多く存在しますので、クリニックなどではなく、お近くの漢方専門薬店などに相談されてはいかがでしょうか? 参考までに、以下に、代表的な漢方を列記させていただきます。
清暑益気湯:どのようなタイプの残暑バテ・秋バテでも対応できるおクスリ。まずは試すべきファーストチョイスのおクスリ。
補中益気湯:元気が出ない、カラダがだるくて疲れやすい、胃腸が弱って食欲がないなど方のおクスリ。
人参養栄湯:カラダがだるく疲れやすい、胃腸が弱って食欲がない、手足が冷えるなどの方のおクスリ。
その他残暑バテ・秋バテに関してアドバイスがあれば教えてください。
自律神経の乱れを抑えることによって、残暑バテ・秋バテになることを防ぐことができます。規則正しい生活をするなどの残暑バテ・秋バテを防ぐ生活習慣を心がけましょう。ただし、体質的に残暑バテ・秋バテになりやすい方も見うけられます。
そのような方(毎年、残暑バテ・秋バテになるといった方)は、東洋医学では前の季節の生活習慣などが、次の季節の症状として表れるとされていますので、春先から残暑バテ・秋バテを防ぐ生活習慣をされてはいかがでしょうか?
また、残暑バテ・秋バテになってしまった方は、残暑バテ・秋バテだから……とあきらめず、ツボ押しや漢方などできちんとケアや治療をされることをオススメします。
教えてくれたのは
鍼灸・接骨・漢方の犬山堂代表兼院長 三輪考司(みわたかし)先生
医療系専門学校などでの教育経験や多数の講演・セミナー経験を経て、全国的にも稀な鍼灸治療と漢方治療を同時におこなうワンストップ型東洋医学治療院として、鍼灸・接骨・漢方の犬山堂を開院し、代表兼院長をつとめる。不定愁訴やメンタル(うつ)、変形性ひざ関節症、天気痛、不妊症、EDなど、現代の西洋医学では治療のむずかしい病気に対して、鍼灸および漢方を用いて、東洋医学での先進的な治療をおこなっている。
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