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医療用マスクとポリウレタンマスクはどれくらい効果が違うの?医師に聞いてみました!

美人百花デジタル / 2021年11月18日 19時45分

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着用するのが当たり前になったマスク。不織布マスク、ポリウレタンマスク、サージカルマスクなどさまざまな種類のマスクが販売しています。どのマスクが感染対策に1番効果的なのか、どのように使用すれば良いのか「うるおい皮ふ科クリニック」院長の豊田雅彦先生に話を伺いました。あらためて正しい感染対策について考えてみませんか?

 

サージカルマスクとポリウレタンマスクにおけるウイルス除去率の違いを教えて下さい

国立研究開発法人「理化学研究所」(理研)のスーパーコンピューター「富岳」による、マスク素材ごとの飛沫防止効果のシミュレーションによると、ウイルス除去の指標となる「吸い込み飛沫量」は、不織布が約70%、ウレタンは約30~40%しかカットされないという結果でした。つまり、ウレタンマスクでは不織布マスクより多くの飛沫量を吸い込んでしまうということがわかっています。サージカルマスクのデータは示されていませんが、サージカルマスクは不織布よりも微粒子カットの効果が強いので、ウレタンマスクとのウイルス除去の割合の違いはさらに大きいと考えられます。

サージカルマスク(医療用マスク)とは

日本でサージカルマスク(医療用マスク)とは、「主に医療現場もしくは医療用に使用される感染防止用マスクで、外科手術などの際に使われるマスク」と定義が曖昧でした。しかし、2021年7月に経済産業省と厚生労働省はマスクの日本産業規格 (JIS) を制定して、マスクの果たす要件を満たす試験方法や試験結果の基準を決めました。

(1)医療用マスク、サージカルマスクの定義:主に医療関係者の着用を想定し、ウイルスを含む飛まつ、バクテリアを含む飛まつ及び体液の体内への侵入を防御するとともに、バクテリアなどを含む飛まつの空気中への飛散を防止することを目的としたマスク。

(2)一般用マスクの定義:ウイルスを含む飛まつ、バクテリアを含む飛まつ、花粉粒子、及び微粒子状物質(PM2.5など)などのうち、対象とする物質について、体内への侵入を防御するとともに、空気中への飛散を防止することを目的としたマスク。

サージカルマスクは“主に医療関係者の着用を想定”していますが、ドラッグストアやホームセンターでも販売されていて、一般の人が手に入れることも可能です。

サージカルマスクとポリウレタンマスクの感染リスクの違いを教えて下さい

理研のシミュレーションによると、感染していればウイルスを自分が他人にうつしてしまう可能性のある「吐き出し飛沫量」のカットは、不織布マスクで約80%、ウレタンマスクは約50%でした。つまり、不織布マスクでは吐き出し飛沫量は20%程度に抑えられるにもかかわらず、ウレタンマスクではその2〜3倍の量を吐き出してしまい、それだけ他人に感染させるリスクが上がってしまうということです。「吸い込み飛沫量」と同様にサージカルマスクは不織布より微粒子カットの効果が高いので、自分が感染するリスクおよび他人に感染させるリスクも、共にウレタンマスクはサージカルマスクに比して高いことになります。

それぞれのマスクの使うべき場所とシチュエーションを教えてください

確かにサージカルマスクとポリウレタンマスクの性能の差だけを見ると、サージカルマスクの方が安全性が高いと言えます。しかし、場所や注意事項を守れば、ポリウレタンマスクや、布マスクでも使用に問題はないと思います。

サージカルマスクは一般の不織布マスクより気密性が高いものが多いので、安全面からも、一般医療や介護などに従事する人や、密な場所や病院など感染対策として注意が必要な場所では着用すべきでしょう。しかし、日常では現在多く使用されている不織布マスクの着用で十分だと思われます。

ポリウレタンマスクはサージカルマスクや不織布マスクに比べて密封性が低いため、他人との接触が少なく密な場所でなく、換気が良い場所で長時間着用する場合に適していると思われます。なので、運動している際に使用したり、呼吸器系、肌が弱い人などはポリウレタンマスクを使う選択をしてもいいかもしれません。

その他、アドバイスがあれば教えて下さい

素材だけではなく、付け方などにも気をつけてみてください。

例えば、(1)マスクが鼻と口を完全に覆う。(2)顔にフィットするサイズのものを着用し、顔の隙間を最小限にして密着させる。(3)マスクをつける前に手洗いや手のアルコール消毒をする、(4)はずす際にはマスクの表面を触らない。(5)サージカルマスクや不織布は使い捨てなので、使用後はビニール袋に入れて口を閉じて廃棄する。(6)ポリウレタンマスクや布マスクは繰り返し使用すると劣化してフィルター能力がさらに低下するので洗い過ぎ・回数制限に注意する、などが挙げられます。

教えてくれたのは

「うるおい皮ふ科クリニック」院長 豊田雅彦先生


1990年、富山医科薬科大学(現・富山大学)医学部卒業。同大学皮膚科学講座に入局・研修医。
1996年、米国ワシントンDCで開かれた国際会議である研究皮膚科学会議年次総会で「色素細胞と神経の接着」にて最優秀研究賞を共同受賞。
2002年、パリで開かれた国際皮膚科学会で「アトピー性皮膚炎のシクロスポリンによるかゆみの抑止効果機序」の発表にて臨床部門最優秀賞を単独受賞。
2004年、米国マイアミで開かれた国際皮膚科学会で「抗アレルギー剤がかゆみを抑える新たなメカニズム」の発表にて研究部門最優秀賞を単独受賞。
2005年、うるおい皮ふ科クリニックを開業。
かゆみをなくすことをライフワークに掲げ、患者さんが希望を持てる診療に日々尽力。現在までに2,000以上の医学論文・医学専門書を執筆。また、国内外で年間最多250以上の講演会・学会発表・保健所指導を行う。受診患者の99%(年間約3万人)の症状を軽減〜消失に導いた、世界有数の皮膚病・かゆみのスペシャリスト。

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