歯科医師が教える!健康的な歯を維持するための日常ケア
美人百花デジタル / 2022年2月19日 19時30分
毎日の歯磨き、きちんときれいに磨けていますか? 今回は、読者から寄せられた歯磨きに関する疑問を、ヒグチデンタルクリニック院長の三枝遵子先生がアンサー! 正しい歯磨きの知識を身につけて、病気を予防しましょう。
健康な歯とはどのような状態のことを言いますか?
「歯を削った治療をしたこともなく、歯並びもよく、よく噛めて白くてきれいな歯。歯茎は、炎症がなく、ピンク色の引き締まった歯茎に覆われている……このような完璧な状態を健康な歯というならば、私の診療経験上この状況をすべて満たした方は残念ながらほとんど見たことがありません。私が思う健康な歯は、歯自体の白さではなく清掃状態が良い歯で、よく噛めることです。ですから、虫歯の治療で歯に詰め物を詰めたり、歯に被せ物をしたり、入れ歯を入れたり、インプラントを入れたりしていても、口腔清掃状態が良くてよく噛めておいしく食べ物が食べられる状況であるならば、健康な歯と言えるでしょう」
おうちでできる歯のケア方法と注意すべきことを教えてください
「皆さんがすでにしている歯ブラシで歯磨きすることは 引き続き励行してください。その中で、日本人に足りないことは、歯と歯の間のケアです。歯茎から出ている歯の面は、噛む面、頬・唇の表面、舌側の裏面、両隣の面2面で計5面です。しかし、歯ブラシで磨くことができるのは、噛む面、頬・唇側の表面、舌側の裏面の3面だけです。ざっくりですが歯ブラシだけでは5面のうちの3面、3/5面なので60%くらいしか取れないのです。歯と歯の間の面はデンタルフロス、歯間ブラシといった補助的な道具を使用することで100%取れると思うかもしれませんが、口腔内の細菌をゼロにすることは難しく、併用することで90%くらい取れると言われています。デンタルフロスは、歯に隙間が空くからやらないほうが良いのではと思っている方もいますが、正しく使用すれば隙間が空くことはありません! 正しく使用しているのに隙間が大きく空いてしまう方は、もしかしたら歯周病が進んでいるのかもしれませんので歯科医院へ早めの受診をおすすめします。また、最近は歯周病予防として殺菌効果のある洗口剤もありますので併用すると良いと思われます。しかし、やりすぎは良くありません。口腔内には人間にとって良い菌もいます。洗口剤をやりすぎてしまいますと、良い菌も殺菌され、口腔内の菌のバランスが悪くなることもあります。何事もほどほどが大切だと思います」
意外としがちなNGケアがあれば教えてください
「歯を強く磨き過ぎて、歯茎が下がり、知覚過敏になっている方が意外にも多いです。歯磨きは弱すぎても歯垢が取れていなければダメですし、歯磨きが強すぎてもダメですね。強く歯磨きし、歯垢は取れていても、歯を傷つけるだけでなく、歯茎まで擦りすぎて歯茎が下がり、歯のエナメル質がついていない歯根の一部が露出してしまい、いわゆる知覚過敏になっている方が多いです。この知覚過敏を虫歯と勘違いし、更にゴシゴシ磨いてしまい、痛みを強くしてしまう方もいます。また、良い電動歯ブラシを使っている方の中には、良い電動歯ブラシを使っているということに安心してしまい、歯ブラシが歯にしっかり当たっていなく、よく磨けていない方もいます。逆に歯や歯茎に強く当てすぎて歯茎を傷つけてしまう方もいます。良い電動歯ブラシも上手に使用することが大切ですね」
歯磨きができなかった日の、健康な歯を維持するためのスペシャルケアを教えてください
「お口の中の細菌をゼロにすることはできず、歯磨きを毎日やらなくてもいいスペシャルケアは、残念ながらありません。ただ体調が悪くて、歯磨きができなくなることは皆さんも経験があると思います。そんなときは、洗口剤を用いるのは有効でしょう。肝心なのは、歯磨きができなかった日があれば、翌日にできなかった分を補うようにより丁寧に磨くことです。何度も言いますが、お口の中の細菌はゼロにはなりませんが、限りなくゼロに近づけるような歯磨きがとても大切です。補助的清掃道具も今はたくさんありますので一緒に使用することでよりきれいにケアできます。ただし、全部の道具を使用し完璧にしようとすると何十分もかかるので、メインの普通の歯ブラシは毎日、補助的なブラシ(歯間ブラシ、ワンタフトブラシ、歯周病予防の毛先の細いブラシなど)を1日おきに使用する、でも良いでしょう。毎日毎日大掃除をしている人がいないように、口腔内も毎日毎日大掃除しないといけないと考えると憂うつになるので、週1〜2回は念入りに磨くなど、自分のペースで、気負わず歯磨きを継続することが大事です。だからこそ、きれいな歯でいることはご自身の努力の証なのだと思います。そして、ちゃんと磨いていれば年齢を重ねたときに後悔しない結果がご褒美として返ってきますよ」
教えてくれたのは
ヒグチデンタルクリニック院長 三枝遵子先生
1994年日本大学歯学部卒業。日本大学歯学部付属歯科病院・歯周病学講座を経て、台東区浅草で樋口歯科を開業。2009年にヒグチデンタルクリニックと名称を変え台東区雷門に移転、現在に至る。2011年に予防啓蒙活動として「ハミガキろっく」という歌を制作。2013年には「DVDでみる絵本」を制作。2021年には「なんではをみがくの?」という今更聞けない、大人にこそ読んで欲しい絵本を制作。欧米諸国並みに日本国民の歯の予防意識を向上させたい!と予防啓蒙に励む。ヒグチデンタルクリニックはこちら
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